2008年6月30日月曜日
Plague of Dragonfly in Tokyo & Two faces of JPY
日本円の方向感についてはこの2ヶ月くらい随分と相場観が割れていた印象がありますが、金融市場における米ドルの反落バイアスと投資家のリスク回避バイアスの上昇を背景に再び円高方向の芽が膨らんできたようです。
3月17日の95円77銭で底を打ったドル円は6月の初めには104円台でしたが、引き続き円高方向を予想する参加者の希望を打ち砕きながら6月16日には108円59銭まで上昇しました。
JGB市場も随分と売りが出て円金利も上昇していましたが、他国の金利の上昇速度が速かったことから円は負け組みに入っていたと言うところでしょうか。
6月後半は、海外のヘッジファンド勢等も円でのポジションテイクはかなり限定的だったと思いますが、ECBトリシェ総裁が7月の利上げを示唆してからは、ユーロ円を筆頭にクロス円での円安傾向が注目を集め始める展開となり、モデル系ファンドなどの円売りも手伝って6月26日にはユーロ円が169円47銭の史上最高値を更新する局面もありました。実は私はFOMC後の混乱が小規模なら、このクロスは170円を超えていくと言う確信すら抱いたほどです。
ところが・・・どっこい大作。
週末にかけて加速したドル売りと株売りは、Volatilityの上昇と市場参加者のリスク回避バイアスを急上昇させたために市場のリスクパラメータと位置付けられるCHFと日本円が急上昇。170円を超えていくとも思われたユーロ円も週の終値は167円台後半というトンボ返りで越週。上述の通り16日には108円59銭だったドル円でも週末は一時105円台後半まで下落した後辛うじて106円台で越週しています。
奇しくも先週は、週の前半で東京市場の中心地とも言える東京は丸の内、大手町地区の一部で季節外れのトンボの異常発生があったのですが、これはまさに日本円のトンボ返り的な反転⇒円高転換への序曲であったというのは・・・・ちょっと苦しいかな・・・
実は長い目で見た場合の日本円には、更なるトンボ返りのリスクもあるのですが、オプション市場でVolatilityも急上昇の日本円・・・・・・ 上手く入れば収益上昇(=トンボ)、失敗すれば水中生活(ヤゴ)というトレーダー泣かせの展開となるかもしれませんね。
2008年6月29日日曜日
Been FED up with FED?
金利据え置きは既定路線で注目は声明文と言うのが市場のコンセンサスでしたが、市場の先手を取る格好でのサプライズ利上げなどがあればかなり相場が動くと言う期待もありました。
月曜日のドイツのIFOが弱く、更に6月のユーロ圏PMIが2003年7月以来初の減速と好敵手の欧州が失速すると言うお膳立てもあったのですが、火曜日のFOMC会合の開始に合わせて発表された米国の6月の消費者信頼感指数が1967年以来5番目に悪い数字となり、同じく住宅価格は▲15.3%と単月では史上最大の下落幅となり、FRBの足元にも火がついてしまいました。これでは金利を下げないのが精一杯という感じですね。
25日の結果発表は、金利据え置きと相変わらずバランスの取れた中庸な声明文と言う事でしたが、効果はせいぜい24時間という感じで、26日の海外市場からは米ドル、米株に集中砲火的な売りが集まりました。
結局はFOMC後の週後半に米ドル、米株が大幅下落、米債券価格が急上昇(金利が低下)するという米国にとっては試練の週となりました。
金融セクターが先導する形で下落した米株ですが、金融大恐慌の1930年以来最悪の6月という結果となり、3月の安値も下回って2008年度の安値も更新してしまいました。
手を拱いていては攻撃を受ける事は分っていたはずの米当局。それを受けて行った最近の米ドル安牽制発言が功を奏していただけに、今回のFOMCの"無策"はちょっとヤバイ後味を残したと思います。
マクロテーマは、3月までの金融混乱から4月以降は世界インフレにシフト。金利上昇を背景に米ドルに復活の兆しが出ていましたが、これで金利が再び低下バイアスを強める形で金融混乱第二章の足音すら聞こえてきました。
このBernenke議長率いる今のFEDというのは、本当に梯子を外してくれますね・・・・・・
Have you been FED up with him, too?
Great to see a small pound waving big.
参加者は私を入れて6名でしたが、この6名の今の勤務先は4つに分かれており、そのうちの1つはサブプライム関連で特に大きいダメージがあったと報道された多くの金融機関の1つです。
そこに勤務している後輩とは中々会う機会も無かったのですが、数年前に一度本人から当時の上司との人間関係で大いに悩んでいると言う話を聞いた事があり、私も心を痛めていました。
小細工はせず、小事に惑うことなく、犀の角のように真っ直ぐ進め・・・・ そんな釈迦の教えを絵に描いたような真っ直ぐな男なので当時の上司とは怒鳴りあいのような状態になる事も多く、賞与査定などでも如実に冷遇されていたようでした。
一昨年の年度末にその上司が異動した後は、長い嵐が過ぎ去ったかのように仕事がやり易くなったとの事だったのですが、タイミング悪くサブプライム問題で会社が多額の評価損を計上してしまった訳です。
同社は人員削減なども進行中で表向きは希望退職を募る方式なのですが、内実は事実上の"指名+呼び出し説得"なども進行中との事で、今年の賞与も大幅な減額と言う事だったようです。
この後輩は業務の関係上偶然会社の賞与資金総額を目にしたのですが、確かにそれは昨年度のほぼ半分と言う水準だったそうで、月初の支給日には周囲から20%減だ40%減という失望の声が上がり、彼も周囲から減額幅を随分と質問されたとの事でした。
「でも実は、僕・・・・20%ほど増えていたんです」
帰りの電車で二人きりになった時に、彼は恥ずかしそうに教えてくれました。環境が変わり、失っていたものを取り返すように仕事に打ち込めた昨年度は自分でも納得のいく成果が出せたとの事で、賞与の事も会社の状態から減額は仕方ないと思っていたら、支給総額がほぼ半減し、周囲も数十%減額と言う声が渦巻く中で彼は20%も増えていたのです。おまけに経営から直々に昨年度は良くやってくれたとの感謝の言葉もあったそうです。
「腐らずに励めば必ず誰かが見ていてくれるんだと本当に報われた気持ちになりました」
晴れ晴れとした表情でそう言う彼の手を強く握り、背中を叩きながら、混み合って来た電車の中で私は小声で彼をねぎらい、祝福と賞賛の言葉を掛けて彼のことを誇りに思う事を伝えました。
周囲への配慮もあって社内ではどのくらい減ったかと言う質問を受けても「思ったほどは減っていなかった」という控え目な回答しかしていないというのも彼らしいのですが、私は彼が一層好きになりました。
この話に関して考える事は沢山ありますが、もしサブプライム問題が無くて彼の賞与が30%増えていたとしても今回ほど彼が自信を取り戻す事は無かったと思うのです。やはりお金はとても重要ですが全てではないのだと改めて思いました。
"これだけ払っているんだから文句無いよね" と言い切れる位の処遇を与えていないのであれば組織の経営陣が考えるべき事は沢山あるのだとつくづく思うエピソードだと思いました。
え? 私の会社? 勿論もっと考えて欲しいですね(笑)
2008年6月23日月曜日
Could it be the writing on the wall ?
このFDICですが、今年が設立75周年と言う事のようで多くの主要紙に"お陰様で75周年"と言うようなフルページの広告を出しているのですが、金融市場にリスク回避バイアスが復活し始めている中で様々な憶測を呼んでいます。
“FDIC protects depositors up to the basic insurance amount of $100,000 per account and retirement accounts, such as IRAs, to $250,000.”
FDICは、預金者の皆様を口座当り10万ドルまで、非課税の老後年金運用口座なら25万ドルまでを保護します・・・・と再確認をした後に、つまり全てを保護するということではないですからね・・・という念押しを太字で掲載しているのです。
昨年のサブプライム問題発生以降の大規模な連続利下げと流動性の供給は明らかに金融機関救済に軸足を置いた応急措置だったわけですが、ここへ来てドル安と原油高等によるインフレの弊害が国民生活を過度に圧迫し始めたと言う認識が当局者の間でも強まる中で、ここからはドル安の是正と金融緩和姿勢の見直しを行いますよと言うシグナルのようにも思えないでしょうか?
ただしこれを断行すると・・・実は中小の地銀レベルも多い米国では結構な金融機関が収益性を圧迫されて資金繰りなどにも問題をきたし、業界再編が加速すると言う可能性があるので、このタイミングで国民に保護の上限と自己責任の原則を再確認させているのではないかという憶測が持たれているという訳です。
ただの75周年のアナウンスなのか・・・・方針転換の憶測もあるFRB直前のシグナルか・・・・
旧約聖書ダニエル書のバビロニア王国の滅亡の章で、王国の滅亡を予言する不思議な文字が壁に現れたという件があることから、"The writing on the wall" は不吉な前兆と言う意味で使用されるのですが、私もこのタイミングでのFDICの75周年広告には少々深読みをしたくなってしまいます。
"I saw the writing on the wall" というチープトリックの曲がありましたが、もしこの広告が実際に庶民への警告の意味で出されたものだとしたら・・・・それこそチープなトリックのような気もしますね。
どういう決断をしても、市場のほぼ半分を裏切る、失望させるのならば・・・・・FRBは本当に難しい舵取りを求められているのでしょう。
2008年6月22日日曜日
Talk the talk or walk the walk.
世界インフレシナリオは、米国に口先だけではない本物のドル安警戒姿勢を呼び起こし、ユーロ高を声高に牽制してきた欧州当局にも強い通貨による輸入物価抑制効果を再認識させるという変化をもたらしました。
一方で顕著な物価上昇の中で実体経済の弱体懸念も強まっており、特に金融不安まで再燃してきた米国は本当に利上を断行出来るのか、また利上げ姿勢を米国以上に鮮明にしている欧州では内部から予想以上の反対論が噴出しています。
そんな中で今週米国で行われるFOMCは従来以上に重要なイベントであり、25日に発表される結果が金融市場にもたらすインパクトは絶大な物となりそうです。
市場を混乱させないために一部メディアなどを使って市場にシグナルを発し、事前に結果を織り込ませる事で市場の安定を図る事はよくあることですが、先週もPPI,住宅着工、経常収支などが実体経済の脆弱さを浮き彫りにする中で複数の主要紙(ワシントンポスト、ウォールストリートジャーナルなど)を通して発せられた金融市場はFRBの引き締め可能性を織り込み過ぎているというメッセージは非常に気になるところです。確かに市場は一時この先1年でFRBの利上げを150bp織り込む水準にまでオバーシュートしていましたので、あれは行き過ぎだったとは思うのですが・・・
利上げの有無以上に声明文で示される今後のスタンスが注目される今週のFOMCですが、依然評価の大きく分かれるBernanke議長が、有限実行の人なのか、口先男という汚名を着せられるのかと言う岐路に立っているという事も言えるのでしょう。
Will he walk the walk or....just talk the talk.
1913年の設立以来、FRBは失業率が上昇する局面で利上げをしたことはありません。今週25日にBernenkeが動くなら・・・・それは歴史的な出来事と言う事になるのですが・・・・・・
綴りも一字違いのWALKとTALKですが、実態は似て非なるものの代表かもしれませんね。
2008年6月15日日曜日
A rainy season sets in.
今月は、そうですね、半分くらいは傘を持って歩いているような気がします。
今日も地元の商店街で最も人だかりがしていたのは・・・・・ここでした。
財政的にはコンビニでアイスクリームを買う方が経済的なのですが、どうも子供たちにねだられると・・・・・・この通り・・・・
私の Favorite は昔から、キャラメルリボン一筋ですが、これは米国のBaskinには無かった用に思いますが、Ben&Jerryというシリーズで類似のものがあったので見つければ必ず購入していました。
暑い夏、この湿度・・・・せめてアイスクリームなどを美味しく食べて乗り切りましょう。
What a big turn of event !!??
先々週の金曜日(6月6日)に発表された5月の米国雇用統計が、予想以上に弱い内容だったことで自国の雇用に不安を抱える金融当局がインフレ対策で金融引き締めを断行できるわけは無いとの思惑から米ドルが一気に反落し、ドル円も106円台から104円台まで下落しました。
これを受けて始まった先週の取引では月曜日早朝、Welington市場からドル売りが加速し、ドル円でも104円40銭まで売り込まれた事で米ドルの先安感が急上昇していました。
実はこの先週の月曜日ですが、前週の金曜日に米国雇用統計を受けて大きく米ドルが反落した後でもあり、シドニー市場が休場だった事も手伝ってふだんよりも多くの東京勢が深夜出勤してオーダー管理などを行いつつ、ドル売り方向での勝負ポジションを積み上げていました。
私自身「勝負あった」という印象を持っていましたので、米ドルの大幅反落もありうるという予想を持っていましたが、米ドルは週半ばに向けて徐々に地歩を回復し、後半に向けて再び上昇姿勢を回復するという驚異的な粘り腰を見せました。
兎に角過去2週間の攻防は物凄いので整理してみましょう。
1 先々週の6月6日(金)の運命の雇用統計の凄さ
・失業率が5.5%まで上昇したのは2004年10月以来の
3年7ヶ月振り。
・非農業者部門新規就業者数が5ヶ月連続で上昇したのは
2003年6月以来の4年11ヶ月振り。
・失業率が一気に0.5%も上昇したのは1986年2月以来の
22年3ヶ月振り。
2 先週後半に盛り返した米国の不気味な底力
・Best week for USD index and worst week for EURO
in over 4 years
・Best week for USDJPY in almost 10 years!
更に極めつけは・・・・
・2Yr U.S. yields have biggest weekly rise this week
for 26 years up almost 70 bps.
ドル円は週初の104円40銭から108円台まで上昇して終了しています。
米ドルは、木曜日までに全ての主要通貨に対して前週の雇用統計前の水準以上にまで回復していましたが、金曜日が"13日の金曜日"だったこともあり、米ドルは金曜日に試されると言う嫌な予感もあったのですが、その金曜日にある意味では吹き上がるような勢いを示して終了しました。
それにしても6月相場・・・・既に充分に見せてくれていますね。
2008年6月9日月曜日
"Watch my fingers"...is that what you meant ?
例えば・・・先週ならこんなものもありました。 よく見つけるな~と思いませんか?
ECB、Trichet総裁・・おっと・・この中指は?
全く振れないという意味では日本の政治家などに爪の垢でも煎じて飲ませたいようなECBのAnti-Inflation スタンスですが、Trichet総裁の早ければ7月にも追加利上げを行う可能性すら示唆する発言は、米ドルに対して守勢に回っていたユーロが大規模な反撃に転ずる引き金となりました。
結果的にはこの発言が無くとも、金曜日の雇用統計で米国が自落現象的にコケてしまう流れとなったのでしょうが、彼の発言のインパクトは大きなものがありました。
奇しくもFRBのBernanke議長もECBのTrichet総裁も直接、間接の違いはあれど、自国通貨を高めに誘導しようとしたように解釈できると思います。
多くの先進国経済圏に共通の話なのですが、インフレ圧力を何とかしたいものの減速気味の経済の勢いを考えれば中々利上げもし難いという状況下で、以前は問題視されていた自国通貨高が一転して福音となっている事は実に皮肉な事です。
金融当局者も我々市場参加者以上に頭を悩めている事は間違いないことだと思われますが、実際問題としてTrichetさんもこういうポーズで市場を罵りたくなる事もあるのではないでしょうか。
それにしても、この右手は・・・ヤバイですね・・・総裁のスタンス同様にこの一瞬を逃さなかったカメラのピントもぶれなかったと言う事でしょうか。
2008年6月8日日曜日
What a start of the month !!
職業柄、毎日金融市場を追いかけているのでわかってはいたのですが、改めて先週の動きを伝えるメールをまとめて整理していると物凄い週だったということが実感されます。
5月は米ドルや株式市場が安定する一方で原油などのコモディティ市場が下落局面入りした事で金融市場は全体的に安定していましたが、6月は月初から各市場が乱高下する竜巻状態に突入した感じですね。
週初には英国の大手Lender, Bradford&Bingley Plcの資金繰り問題が表面化すると同時に米国のLehman Brothersが1994年の株式公開以来初めて四半期ベースで損失を計上すると同時に大規模な資本増強が必要となると言う報道が駆け巡りました。
これで6月は開始早々から金融機関の経営危機問題が再燃する格好となり、米ドルと株式市場に圧力が掛かる展開となりました。
これを一気に覆したのがFRBのBernanke議長のドル安牽制発言でした。
通貨に関しては財務省の管轄なので通貨への言及を意識的に必要最小限に留めてきた同議長だけに、彼がここで何を言ったかよりも何かを言ったという事に大いに注目が集まりました。ある指摘によれば彼が議長就任以来議会証言の場などで米ドルについて言及してきた時間の合計よりも長い時間を費やして彼がドル安の負の面について懸念を表明したと言う位インパクトが大きかったと言う事になります。
米ドルは週央に掛けて週初の守勢から一気に復活し、ドル円でも5月の高値105円88銭をあっさりクリアして106円台に突入し一気に上昇軌道に回帰したように思えました。
注目の商品市場は週初の米ドル下落局面でも上昇出来ず、週半ばに向けての米ドル復活局面では原油も金も下げ幅を拡大すると言う展開となり、完全に地合いが変わったと言う印象もあったのですが・・・
ここで欧州が口を開きます。
木曜日にはECBが過去6年間で最高水準にある政策金利を据え置くと共にTrichetが登場し、今後欧州経済が減速する局面でもインフレ退治に必要とあれば利上げを躊躇しないと言う姿勢を明確にした事でユーロが復活し、ライバル米ドルとの綱引きを土俵中央にまで戻します。
原油など商品価格もユーロに追随し、これまでの米ドル優位に"待った"をかけます。
奇しくも週末の金曜日が経済指標としては米ドルの天敵とも言える米国雇用統計の発表と言うことで木曜日までにライバル達も名乗りをあげると言う絶妙の舞台設定が出来上がることになりました。
そして、5月の雇用統計の悪化でまさに自落現象のように米ドル、米株が崩落しました。
非農業部門新規就業者数はマイナス6万人の予想よりは良いマイナス4.9万人と言う結果でしたが、失業率がこれまでの5.0%から5.5%まで一気0.5ポイント上昇すると言う驚愕の結果を受けて米ドルが一気に大幅下落に転じ、米株もダウで$394下落と言う大どんでん返しの展開で週の取引を終了しました。
・失業率が5.5%まで上昇したのは2004年10月以来の3年7ヶ月振り。
・非農業者部門新規就業者数が5ヶ月連続で上昇したのは2003年6月以来の4年11ヶ月振り。
・失業率が一気に0.5%も上昇したのは1986年2月以来の22年3ヶ月振り。
それにしてもこれは・・・・と言う内容ですね。
What a week it really was..............106円台から反落したドル円は104円台で越週しており、これも週明けの動きが注目されます。日経平均は大幅下落が不可避でしょう。
2008年6月1日日曜日
Two sides of inflation...
値段が上がるだけではなく、そもそも供給が絞られて入手自体が困難という状況も生じている事を4月30日にこのブログにも書きましたが、首を傾げざるを得ない事象が各地で色々と報告されています。
(http://eternallighthouse.blogspot.com/2008/04/nation-of-inflation-and-ration.html)
最近目に留まったものではこういうのがありました。
ペニーと呼ばれる1セント硬貨ですが、これを作るのに1.26セント掛かるようになってしまいました。同様に5セント硬貨は鋳造に実に7.7セントも掛かるようになってしまいました。原材料となる銅とニッケルの価格がこの5年で3倍、亜鉛の価格が2倍ということでは無理も無いのかもしれません。
1セント作るのに0.26セントが消え、5セントを作るのに2.7セントが消えると言う状況下で年間闇に消えて行く価値が100mioドルという試算もあるそうです。
これって・・・10円玉など日本の硬貨でも状況は変わらないのではないかと思いますがどうなのでしょうか?
ところがマイナス面が圧倒的に多い中で予想外の効果も出ています。
米国では多くの地区で犯罪の犯人検挙率が大きく上昇しているそうです。$1000程度の情報提供料を当てにした”たれ込み”が急増しており、不法所持の武器の押収につながった場合にボーナスを出すような制度がある地域では不法所持の拳銃の押収が急増しているとか。
ま~1つくらいいい事がないとやってられないと言う気もしますので、犯罪検挙率が著しく低下して日本の警察は優秀だというのは幻想だったと言う事が明らかになってしまった日本でも懸賞金などをもっとアピールすれば治安が良くなるかもしれませんね。
Oil flows the other way ??
5月最終週は金融市場において大いに注目するべき動きがありました。
値幅と言うよりも各市場のベクトルが変わり始めた可能性が出てきたと言う意味においてです。
物価上昇、景気後退、原油、食料、資源価格の上昇などが主導する形の株安、ドル安という多くの市場参加者が思い描いていたメインシナリオに対するサブシナリオとして徐々に存在感を強めてきたサブシナリオであるインフレ懸念による金利上昇、債券下落⇒株式上昇の流れから米ドルも安定するという流れが加速度的に強まってきました。
6月を迎えるに当り、二つのシナリオはほぼ拮抗した状態か寧ろメインシナリオとサブシナリオが入れ替わりつつあるという状況になっているのではないでしょうか。
何はともあれ原油価格の反落が大きな引き金になりました。
直接的な引き金は、米商品先物委員会と英金融サービス庁が共同で原油先物市場の価格動向、大口取引、投機的取引の監視を行うことで同意したと言うニュースでした。
そんな事が出来るならもっと早くからやればいいのにと言う気もしますが、ひとつの推測として2008年の原油価格上昇が5月まででほぼ2007年度の上昇幅を達成してしまったと言う事実があったと言う指摘もあります。(約$37)
更に長期金利の上昇ですが、インフレ懸念から世界中で債券市場が崩壊して長期金利が上昇していますが、スタート時点で最も金利が下がっていた米国金利の上昇が最も大きく世界的な金利上昇の中でも米ドルが最も恩恵を受ける形になっています。特に10年債利回りが4%をしっかり超えてきた事はインパクトが大きいのではないでしょうか。
最後に株式市場の上昇ですが、長期金利の上昇は単独では株式市場のマイナス要因であるものの、資本市場内のトーレードオフ関係から債券価格下落は株価上昇バイアスを持つと言う事と長期金利の上昇よりも原油価格の反落の方が株式市場に大きな福音をもたらしているという事情から世界的に株価が堅調で、ここでも最もお買い得感の強い米株に世界中から資金が流入しています。
金利上昇、株上昇、ドルが反発という流れが6月相場のメインシナリオとして定着出来るかどうかが大きなテーマになってきました。