先週の金融市場でも色々な事が起こりました。特に金曜日は週末でもあり月末でもあるということで週と月の需給が最後に均衡する水準に大いに注目していましたのですが、ちょっとスッキリしない週越え/月替わりになっているという印象ですね。
1 米国
・注目された第二四半期のGDPですが、予想を下回る年率換算+2.4%と言う数字でした。また過去年度の下方修正もあり、これがまた冴えない内容だったとしか言い様がありません。2007年GDP+2.1%⇒+1.9%、2008年GDP+0.4%⇒0%、2009年GDPは▲2.4%⇒▲2.6%となっており、インフレどころかデフレ懸念が急上昇というイメージになっています。結局は日本型のデフレ経済に突入という見方が急台頭しており次のFOMC会合などにおける米国の動きに注目が集まります。
2 英国
逆に第二四半期GDPが予想を上回る数字となった事でGBP高相場となっている英国ですが、BOEのキング総裁は議会に対してGDPという指標はぶれる物であり、英国が議論するべきはブレーキを踏むことではなくどの程度のアクセルを踏むべきかという景気刺激策のことであると楽観を戒める演説をしています。消費依存から輸出主導への構造転換を行い貯蓄率を上昇させていく努力が必要だと述べているのですが、米英欧日が同じ方向に舵を切るとグローバルマクロ経済は一気に縮小に向かう事にもなるので難しい議論ですね。
3 豪州
欧州のStress Test後の市場の動きが必ずしもRisk-on相場への回帰だと言い切れない理由の一つが豪州が弱くはないのですがぱっとしない事でしょう。豪州の第二四半期GDPは予想を下回る年率換算+3.1%(市場予想は+3.4%)でした。これで将来のつかり上げ観測が冷やされた格好で為替市場でのAUDも今ひとつ伸びを欠いた展開となっています。
4 NZ
一方で市場の期待通りに政策金利を25bp引き上げたのがNZですが、中央銀行が今後の利上げの有無やペースに慎重な見通しを示した事で市場の失望感を誘い、週の後半は為替市場はNZDを手荒く売り込む動きを見せました。
とにかく米国を中心としたデフレ観測は要注意です。世界の日本化という有難くないテーマが急浮上している中で課題先進国としての日本に関しては様々な思惑が渦巻きますが、ネットで見れば資金の流入超となっているはずで不気味な円高圧力が定着しつつあると言うのが8月初頭の状況であると言えるでしょう。
今年の8月相場は、投資家のRisk-on的な楽観が強まり、資産市場が上昇してVolatilityは低下すると言う単純な夏枯れ相場にははならないというViewを維持して行きたいと思います。