2013年に突入した元旦遅くにやっと米下院で”財政の崖”を回避する法案が257対167と言う票差で可決されました。上院は既にこれを89対8で可決済みでした。
富裕層への増税の仕方を巡るホワイトハウスと共和党との駆け引きは前項でも触れた通り米国内でも”Kabuki”と揶揄されるような大見得の張り合いでしたが、オバマ大統領の素案にあった家計年収250千ドルと言う閾値を450千ドルに引き上げ、それ以上の富裕層の税率を現状の35%から39.6%に引き上げる内容で妥協が成立しました。(単身世帯は400千ドル)
次に控えるのは政府の債務上限問題です。所謂Debt Ceilingと言われる問題ですが、次はこれで新たなKabukiシアターが展開される事になるでしょう。基本構図としては従来の数値は既に到達してしまっているので引き上げは不可避と言う認識の下で、議会側は有効な歳出削減策との抱き合わせで出して貰わないと議会を通過させないと言うスタンスです。ある意味当たり前なのですが、オバマ大統領は最悪、議会を通らない場合でも自身の権限で勝手に引き上げる方針を示しており、間もなく退官となるガイトナー財務長官は、上限そのものの撤廃が望ましいと言うちょっと怖い事も言っています。
12月のFOMC議事録が公開されました。
内容は”Less Dovish"と言う評価です。メンバー間で現行の資産買入れプログラムの扱いに対する時間軸に温度差がある事が明らかで2013年度中にも終了する可能性が示唆される内容になっています。具体的には3つの潮流があるという感じで、①2013年をもって終了させるのがよいという一派、②時期や規模はさて置き、踏み込んだ緩和を継続するべきと言う一派、③2013年中のどこかで資産買入れを終了させるか明確に減速させることで現行プログラムに対する規模の不安やバランスシートの健全性に対する批判を払拭するべきという一派、と言うイメージでしょうか。
米国の経済指標も歌舞伎並みの大見得展開です。金曜日発表の12月雇用統計は、非農業部門新規就業者数が155千人の増加となり、市場予想の145千人を上回った他、11月の数字も146千人から161千人に上方修正されています。失業率は7.8%のまま横ばいでした。
その他にもADP雇用データ、ISMなどのデータが製造業、非製造業共に強い数字となり年初には円と一緒に売り込まれた米ドルの反転上昇の引き金となっています。