2013年8月25日日曜日

村田諒太のデビュー戦 / 井上尚弥の日本王者

井上、大差判定で日本王者=ボクシング
井上新王者(サンケイスポーツより)

最近の日本ボクシング界は世界王者の数も増えて相応の盛り上がりを見せています。JBCが更に世界王者を増やすべく(?)、従来のWBA,WBCに加えてIBF,WBOにも加盟する=世界王者を認定すると言う選択をした事は賛否両論ありましたが、今や時代の趨勢を見てもIBFはほぼ完全にWBAやWBCと同等の認知を得ていますし、WBOにしてもデラホーヤやハメッドなども最初はここから出てきたと言う実績もありますので個人的には「まーいいかな」と評価しています。

日本は、かつて格闘技先進国と呼ばれ、年末には総合格闘技のイベントが複数開催されていました。全盛期には視聴率でも紅白を脅かす程の盛況ぶりでしたが、諸事情あって殆どの団体が消滅状態となた今は是非ボクシング人気にもっともっと火が付いて欲しいと思っています。

そんな中で、本日行われた二つの試合はとても重要でした。ロンドン五輪金メダリストの村田諒太選手のデビュー戦と希代の天才ボクサー井上尚弥選手のデビュー4戦目での日本タイトル挑戦でした。日曜日の午後7時から生中継と言うのはTV局も既に世界戦なみの力の入れようでしたね。

先ずは井上選手の地元、座間で行われた日本ライトフライ級タイトル戦ですが、これは非常に好試合でした。アマで申し分の無い実績を残してプロ入り後に3戦全勝全KOと言う井上選手ですが、流石に田口良一選手(日本王者、世界ランキング3位)も実力者であり、非常な好試合となりました。結果は判定で新王者誕生となりましたが、井上選手の上昇志向と田口選手の意地がぶつかり合う展開に観客も大いに盛り上がりました。

一方、有明で行われた村田選手のデビュー戦ですが、何と相手は東洋太平洋ミドル級王者の柴田明雄選手でした。
 こちらは2回KOで村田選手が華々しくデビュー戦を飾った格好ですが、勝った村田選手には申し訳ないのですが、まだまだ日本はミドル級クラスになるとここまでレベルが落ちるのかと悲しくなるような内容でした。過去にはミドル級で複数の世界王者も輩出している日本ですが、井上選手と死闘を演じた田口選手と比べると、この柴田選手は動きは鈍いはパンチは全てアウトサイドからのオープン気味の猫撫でパンチだわで、もう初回から勝負は見えていた感じでした。
 勝った村田選手を讃えれば良いじゃないかと言う気もしますが、今日の相手は酷過ぎる。開始直後から村田選手に踏み込まれて強打を打ち込まれ、反撃はオープン気味のピンタのようなパンチを外側から被せて逃げ回るだけ。あれでOPBF王者(東洋太平洋王者)にはなれてしまうのでしょうか・・・・・
鮮烈デビュー!村田諒太、2回TKO勝ち/BOX
村田一方的勝利(サンケイスポーツより)

いずれにしても井上、村田の両ホープ選手が勝利した事はボクシング人気の盛り上がりにはポジティブな事ですので、今後にも大いに期待したいところです。

ただ、是非とも好素材だけに慎重にステップを踏ませながら育てて欲しいと思います。最近は特に防衛回数よりも多階級制覇やデビュー何戦目で王者と言うような短距離走のような記録を狙う傾向が目立つのが気になります。 その結果として、気が付くと王者になっていたり、数階級制覇したりしているものの、「何時誰に勝ったんだっけ?」と言う感じの世界王者すらいます。

最後に満開に花開いた西岡選手引退後、内山、井岡、山中と言う本当に世界に誇れる王者も出てきており、長谷川選手もかなり復調してきました。エセ他界急制覇とかデビュー最短なんて狙わずにサムライボクシングが恐れられるような歴史を作って行って欲しいです。村田、井上両選手にも地に足をつけたキャリアメイクを強く望みたいところです。