世の中には、頭では理解出来ても中々ピンと来ない事象と言うのがある訳ですが、そういうものが身近な事例で突きつけられたりすると、大いに驚愕すると同時に一気に強い実感を伴いながら現実を悟ると言う事があるものです。
我ながら変な文章だな~と思うのですが、米国経済の中における①信用収縮、②住宅価格の下落 という2点について、まさにそういう経験をしています。
信用収縮については、Bear Sternsという投資銀行が事実上破綻した事でも十分な驚きでしたが、金融機関全体が融資残高を絞り込んでいく中で資金繰りに苦しむ企業が立ち行かなくなると言う悪循環が起き始めています。そして、どうやらそれが遂に私が長年非常に強い思いを寄せていた企業を葬り去ろうと言う勢いで進行しているようです。
"Ionic Breeze"という画期的な空気洗浄器等の多くのアイディアヒット商品で知られる"Sharper Image"という企業がChapter 11を申請し、事業清算手続きを開始したと言う報道に接して非常に驚いています。
この空気洗浄器は、Housedust等にアレルギーを持つ私にはまさに革命的な発明だと思われましたし、もう少し懐に余裕があれば間違いなく購入していたはずの商品でした。日本では無名かと思いますが、この会社や特にこの商品はテレビなどでも頻繁に宣伝していたのをよく覚えています。
また、一等地に多くの店舗も展開していた同社は、私が世界中で最も好きな場所の上位に入るマンハッタンのSouth Street Seaport のモールの一階の入り口脇にも堂々と店舗を構えており、私はそこでいくらでも時間をつぶす事が出来ました。
そう言えば、空気洗浄器は買えなかった私でも手が届きそうな値段だったので実際に購入する寸前だった商品に真夏用のNeckringがありました。頭につけるカチューシャのようなU字型の"首輪"のなかに水を入れて、それを電動のファンで気化させる事で首筋を2℃~3℃位冷やしてやると非常に快適になるという画期的且つ眉唾なコンセプトを商品化したものでしたが、こういう話には騙されても光栄だと思ってしまう私はこれが欲しくて身悶えしていました。
あの会社が潰れるなんて・・・・・・
かなり借り入れ(他人資本)が多い⇒今風に言えば、レバレッジを掛けた経営だったようですが、取引銀行から借り入れ運転資金の延長を断られた事が直接の原因だったようです。デレバレッジが進行する過程での犠牲者といってよいのでしょう。
更に・・・米国の不動産に未練を持つ私が最近の動向をインターネットでチェックしていたところ、私が借りていた家のはす向かいの家が売りに出ているのを発見しました。まだ私が米国に居た2005年に売買されていたその隣の家の価格と比較すると間取りの違いを考慮してもなお結構売値が下がってきている事がわかります。
やはり身近な事例で示されるととても実感が沸きますね。
"実感が沸く"という日本語の英訳候補も色々とあるでしょうが、今回の事にちなんで、"実感が沸く=イメージが鮮明になる"という置き換えをすれば、 "It really gave me a sharper image." なんて言ってもよさそうですね。