週末にはドル円が101円台前半まで下落する展開となりました。2005年の一月につけた101円67銭を更新する円高ドル安となった訳です。
週を通しての最大イベントであった米国の2月雇用統計における非農業部門新規就業者数(NFP:Non Farm Payroll)が予想を大幅に下回るマイナスとなった事でドル売りが進行し、特にユーロ、英国ポンド(GBP)などが相場を引っ張る格好でした。
①米ドル売り、②Risk Aversion/Reduction という二つの要素が交互に、時として同時に市場を駆け巡る展開が目立ちますが、両方とも日本円に関しては上昇圧力となる事が多く、現在は102円台まで小反発しているドル円も今後月内にも100円割れを目指すシナリオが有力ですね。
①の米ドル売りに関しては、少なくとも経済指標などの目に見える形では世界経済に対する米国経済減速の影響は大したことは無いというDcouplingシナリオが生きている間は当分燻ると思われますが、これはタイムラグの問題との見方も根強いので慎重に推移を見守る必要があります。
②のRisk Aversion/Reductionに関しては世界中の株式市場を筆頭に Paper Asset売りが加速している事からも今後相当期間金融市場のメインテーマであり続ける可能性が高く、今後の円高シナリオの主要な原動力であり続ける事でしょう。
週末、週初と株式市場の不調は相変わらずで、週明けの東京株式市場のレポートを読んでも全く海外から日本への投資が行われていない事がわかります。(海外勢の注文はずっと売り越しです)
際立つ低金利を背景に世界の調達通貨として国際的な地位を獲得した日本円にリスク縮小の買戻しバイアスが掛かる"悪い円高"であり、多くの人が考えるような米国中心に世界主要経済が問題を露呈する中で日本の相対優位が見直される形での"良い円高"と言う状況は全く生じていないという認識が正しそうです。
愛国心やイデオロギーを脇において冷静に見ていく事を心がけましょう。Bright Sideで言えば、円高メリットの一部には悪い円高であっても実現するものもあるので、こういう部分に焦点を当ててよいモメンタムを作っていく事を為政者は心がけるべきだと思います。原油など多くの輸入品の物価が下がる事などはその最たるものでしょう。
この2週間でシカゴ商品取引所の通貨先物における円にも、NY証券取引所における日本円のCurrencyShareにも本邦年度末要因にも期待する投機家の資金が怒涛のように流れ込んでおり、後者は週初に新高値をつけています。
Big performance of Japanese YEN.....これが最終的には良い円高となって日本経済が本当の意味での復活を遂げてくれると良いですね。 それには当局者の人事を一新する事が不可欠のような気もしますが・・・・おっと危ない、危ない・・・