2007年にサブプライム問題が表面化してCredit市場に亀裂が入りましたが、2008年度にはその余波で金融業界の地殻変動ともいえる業界再編劇が繰り返されて最後はLehmanショックと呼ばれるLehman Brothersの破綻というクライマックスを迎えました。
この問題に対処するべく世界中の金融当局が取った連携は見事だったと言えます。この下手をすれば壊滅的な自壊現象となりかねなかった惨劇を将来創造的破壊と位置付けることが可能となるように打てる手は時期を逃さずに打ち続け、やがては多くの先進国が非伝統的と言われる手法、量的緩和に踏み出しました。
金融市場は2009年の4月あたりから明確なトレンド転換を実現し、Green ShootsやRisk Rallyと呼ばれた資産市場のミニバブルを示現。まさに予想外の市場好調期が訪れました。
それは、まさに Sea changeでした。
日本語でも「潮目の変化」という表現を使いますが、これがあらゆる変化に対して使われているのに対して英語の Sea changeは悪かったものが良くなると言う時にしか使用されないという違いがあり、そのニュアンスはPositiveそのものです。
このSea Changeという言葉を最近良く見かけるのですが、驚くなかれその対象はズバリ・・・米国経済です。
11月の雇用統計の改善は過去月のデータに上方修正を伴うものでその後の雇用関連データも改善を示しています。消費しか知らない民族と揶揄されてきた米国の貯蓄率は今や日本のそれを上回る水準となっており、当初はその対価として撃沈していると思われてきた米国の消費関連データも最近の小売売上高などでかなりの改善が確認されてきました。
ところで、今年の相場の分類はこうなっていたと思います。
1 RISK-ON(活発な投資活動):リスク資産が上昇。通貨順位は概ね以下の通り。
新興国通貨≧コモディティ通貨>欧州通貨>円>米ドル
2 RISK-OFF(投資活動の鈍化、リスク縮小):リスク資産が調整。通貨順位は概ね以下の通り。
円≧米ドル>コモディティ通貨≧新興国通貨
このRisk-onとRisk-offの潮流の間をSWINGしてきたと言うのが2009年の金融市場だったと思うのですが、その大前提が米国経済の長期低迷ということだったと考えています。
そこで、今起きていることは上記の①、②とは違う第三のシナリオである可能性が出てきていると思うのです。それは米国サプライズシナリオです。
このシナリオの発生条件ですが、A 米国の早期改善サプライズ、B 米国以外の地域の急降下 のどちらか(勿論両方ならなお更)と考えます。
Everything is relative. というのはアインシュタインの相対性理論ですが、米国経済の位置付けの相対的な改善によりこの第三のシナリオが実現し、金融市場へのインパクトとしては当然ながら米国金利の上昇、米ドルの上昇という事になるでしょう。
未だコンファームされたわけではなく、確率が高まってきたと言う程度なのですがこの第三のシナリオ⇒米国サプライズシナリオが定着していく可能性を慎重に検討して行きたいと考えているところです。
米国経済の相対的な改善としては、Dubaiショック、ポルトガル、ギリシャなど独仏以外の欧州経済の失速、ウクライナのIMFへの支援要請など着実にカードが増えてきました。
ドルインデックスを見るとこうです。
右下がりのトレンドラインを上に抜け始めています。
我々が見ている「潮目の変化」が英語でもSea Changeと呼べるものなのかどうか。
そこが味噌ですね。
We see changes that might be real sea changes everywhere. Stay tuned. !!