Dubaiショックというのは具体的にはU.A.E(アラブ首長国連邦)の一角を担うDubai首長国の政府系投資運用機関であるDubai Worldと傘下のNakheelという不動産開発会社の資金繰りの行き詰まりという事象なのですが、本日12月14日にこのNakheel社の多額の負債が返済期日を迎える事が市場関係者の関心を集めています。(負債規模は日本円換算で3140億円~3150億円規模)
この負債はイスラム債というものですが、どうもこれはアングロサクソン金融の債券とは違っていて期日に返済出来なければアウトというものでもないようですね。2週間程度の猶予があるのでその間に資金繰りのメドをつければ何とかなると言う性格のもののようなのでイメージとしては本日よりも年末近辺に正念場が来るという感じなのでしょうか。その意味では今日をXデーとして勘違いして相場を張っている人達は肩透かしを食らう事になるかもしれません。
イスラム金融は急速に力をつけており、日本や欧米の企業も必死に参入を試みていますが独特のイスラム法(シャリアというそうです)に基く運用となるので今回の2週間の猶予なども含めて色々と我々が親しんできた金融とは相違点もあります。
基本的に利子を禁じているので預金や貸し出しには利息ではなく運用益配分というような概念が適用されたり、将来の予測やヘッジはアッラーの神の領域に踏み込む不遜な行為ということでヘッジや保険という概念に基く商品は中々刺さりません。
Nakheelのイスラム債も最終的にはU.A.E内のDubaiの兄貴分であるAbu Dhabi政府が何らかの救済スキームを提示する形で決着がつく可能性が高いと思うのですが、一部には2週間の猶予があっても破綻は必至であるとか元々中東内でもあまり原油も出ないのに欧米マネーを呼び込んで分不相応な開発で中東経済への入り口的な振る舞いをして来たDubaiは嫌われ者だったので救済もされないのではないかと言う悲観論も出ているようです。
今日が期日ではありますが、まだ猶予があると言うことも含めてまだまだ予断は許しませんね。
全てはアッラー神が決める事という信仰から保険が馴染まないイスラム経済ですが、非常に面白いのはイスラム語においてこの全てはアッラー神の思し召しであるという言葉が「インシュアッラー」。一方でこれに阻まれて定着できないアングロサクソン金融の保険は「インシュアランス」ですので両者はどういう訳か非常に似たもの同士ではあるのです。
イスラムの世界は本当に奥が深そうですね。
Dubaiショックは、規模が小さいとかアブダビ政府による救済が確実視された事で一旦落ち着いていたのですがこの段階で株式市場の回復振りを「Dubai ⇒ Do buy」と文字っていたレポートがありました。 ここへ来て再び市場を騒がせて最後は本当に救済されずにNakheel社が破綻してしまうとしたら
、Dubai⇒Do Buy⇒Good Byeとでも書くのでしょうか?
年末まで気が抜けませんね。