採択・発表された声明文の評価は色々あるようで、その評価と実効性を巡る思惑が今週の金融市場の大きな材料となる事は必須でしょう。
どういう事が合意されたのでしょうか? ちょっと声明文をの骨子を見てみましょう。
・The G20 countries agreed to "move towards more market determined exchange rate systems"
・And "refrain from competitive devaluation of currencies."
・Agreed to be "vigilant against excess volatility and disorderly movements in exchange rates"
・Such actions would "help mitigate the risk of excessive volatility in capital flows facing some emerging countries."
・The G20members will "pursue the full range of policies conducive to reducing excessive imbalances and maintaining current account imbalances at sustainable levels".
・There will be indicative guidelines to be agreed on current account balances to be rolled out at the meeting of
G20 leaders in Seoul next month.
以上の部分がポイントという感じかと思います。
①市場本位の通貨制度への移行。
②自国通貨切下げ競争の回避。
③通貨市場における過度の変動や無秩序な動きを監視する。
④新興国が直面する過度の資本流入・流出による過度な変動リスクの軽減。
⑤広範な政策を駆使して国際不均衡を維持可能な水準に維持し、減少に向かわせる。
⑥今後その推進及び評価のためのガイドラインを策定する。
と言うのが合意事項というところでしょうか。米国が今回の議長国である韓国を抱込んで共同提案した黒字国も赤字国も2015年までに経常収支をGDPの4%以内に抑えていこうと言う数値目標の設定は合意には至りませんでした。経常収支は大部分が貿易収支ですので内需・外需のバランスを取って貿易収支の勝ち負けを抑制すると言うガイドラインは、巨額の貿易黒字による外貨準備の備蓄を武器に軍備を増強し世界中の資源を買い集める中国を強く牽制する意図があるのは明白であり、当然ながら中国が最後まで強く反発した結果のようです。
また準備不足からでしょうか、同様に貿易黒字国である日本やドイツも慎重姿勢を示したと言う事ですので11月のG20首脳会議(サミット)での合意も容易ではなさそうです。実際に財政収支は政府部門の話ですが一国の経常収支というのは民間部門の経済活動の結果ですのでこれをコントロールするのは容易でないのは事実でしょうね。
現時点では、「強制力は無い」、「抽象的」、「中身は乏しい」というような評価が目立っている印象ですね。ただし、軽視出来ないのが歴史的に見て結局はG7会合が転換点となって大きな潮流が変わってきたと言う事例が少なくないと言う事でしょう。新興国の台頭によりG20と形を変えていますが、その時々で同じように実効性が疑問視されても世界のリーダー達が示した方向性は大きな意味を持ち、有形無形の影響を市場に与えてきたのは事実です。
今週の市場は短期的な評価で動くでしょうが、中長期的な評価は市場に任せるしか無いのかもしれません。
新興国の経済発展を受けてG7からG20という形になって今年で5回目なのですね。通貨問題なども明らかにCO2排出問題と同じで、”先進国vs新興国” という構図になっている事が明白です。
世界の構造があらゆる切り口で先進国/新興国という二重構造化してきていると思うのですが、このG20の20というのも”二十”というよりは”二重”と読めるような気がする昨今ですね。