筋書きのある政治パフォーマンスとか究極の出来レース等と勘繰られている米国の債務上限引き上げ問題ですが、結構真面目な話なのではないでしょうか。
結局は先進国、ましてや欧州、日本や米国ほどの国家ですらその債務規模は待ったなしの水準にまで来ていることは本当に恐ろしい事です。これはある意味放射性物質を海中や大気中に放出する事にも似ていると思うのですがいつまでも「この程度であれば直に影響が出る事は無い」等と言っているとやがて取り返しの付かない事になると言う事かと思います。
将来、全ての新興国でも起こる事ですが、中国なども急速に国民が豊かになり、生活水準の向上も著しい訳ですが、やがて少子高齢化が進む中で税収も減少していくようになっても国民は生活水準の切り下げを受け入れられません。人間とはそういうものですね。
仕方なく国家が手厚い福祉政策で国家として借金をしながら国民の生活水準を支えますが、借金は拡大して行きます。この流れを変えようとする動きも出ますが、大抵そういう動きは有権者の怒りを買い政権交代のようなことを繰り返しながら国家が疲弊していきます。
所謂先進国はどこも既にそういう状態になってしまっているのだと思います。新興国に頑張ってもらっているうちは良いのですがやがて新興国が先進国にCatch-upして同じ状況になった時には一体どうなるのか。それこそ本当に戦争でも起こりかねない怖さを感じます。
さて・・・・・
週末の間の米国の債務上限切り上げ関係の動きを整理してみましょう。案の定土壇場に来て色々な動きが出てきていますが、8月2日の期限までに一層活発化するのではないでしょうか。
7月29日(金)
・債務の上限引き上げ問題が難航。
・共和党のベイナー下院議長主導案に共和党保守系議員が反対し、27日に予定していた採決を28日に先送りすることを決定。米デフォルトリスクの深刻さが増す。
7月30日(土)
・共和党の連邦債務上限引き上げ法案(政府債務の上限を2段階で引き上げ)が賛成218票、反対210票で可決(米下院 29日)
・下院が同日可決した共和党の連邦債務上限引き上げ法案を否決。債務上限を3段階に分けて引き上げる妥協案をまとめる(米上院 29日)
・Moody's⇒米国の格付け見直しでは「トリプルA」格付けが据え置かれる可能性が高い
・Moody's⇒デフォルト回避期限とされる8/2までに連邦債務上限が引き上げられなかった場合でも政府が国債の支払いを優先するとの予想シナリオに基づいている。
・Moody's⇒その場合でも見通しは「ネガティブ」の可能性あり
7月31日(日)
・連邦債務上限引き上げに関する、妥協案の審議打ち切り動議の採決を延期(米上院民主党リード院内総務)
今週は先ずはこのネタに振り回されて、週末には7月雇用統計でまた大騒ぎになると言う展開となるでしょう。兎に角Volatilityが上がる時間帯に入りましたね。