2008年3月30日日曜日

It gives me a much SHARPER IMAGE.

世の中には、頭では理解出来ても中々ピンと来ない事象と言うのがある訳ですが、そういうものが身近な事例で突きつけられたりすると、大いに驚愕すると同時に一気に強い実感を伴いながら現実を悟ると言う事があるものです。

我ながら変な文章だな~と思うのですが、米国経済の中における①信用収縮、②住宅価格の下落 という2点について、まさにそういう経験をしています。

信用収縮については、Bear Sternsという投資銀行が事実上破綻した事でも十分な驚きでしたが、金融機関全体が融資残高を絞り込んでいく中で資金繰りに苦しむ企業が立ち行かなくなると言う悪循環が起き始めています。そして、どうやらそれが遂に私が長年非常に強い思いを寄せていた企業を葬り去ろうと言う勢いで進行しているようです。

"Ionic Breeze"という画期的な空気洗浄器等の多くのアイディアヒット商品で知られる"Sharper Image"という企業がChapter 11を申請し、事業清算手続きを開始したと言う報道に接して非常に驚いています。

sharper image

この空気洗浄器は、Housedust等にアレルギーを持つ私にはまさに革命的な発明だと思われましたし、もう少し懐に余裕があれば間違いなく購入していたはずの商品でした。日本では無名かと思いますが、この会社や特にこの商品はテレビなどでも頻繁に宣伝していたのをよく覚えています。

また、一等地に多くの店舗も展開していた同社は、私が世界中で最も好きな場所の上位に入るマンハッタンのSouth Street Seaport のモールの一階の入り口脇にも堂々と店舗を構えており、私はそこでいくらでも時間をつぶす事が出来ました。

そう言えば、空気洗浄器は買えなかった私でも手が届きそうな値段だったので実際に購入する寸前だった商品に真夏用のNeckringがありました。頭につけるカチューシャのようなU字型の"首輪"のなかに水を入れて、それを電動のファンで気化させる事で首筋を2℃~3℃位冷やしてやると非常に快適になるという画期的且つ眉唾なコンセプトを商品化したものでしたが、こういう話には騙されても光栄だと思ってしまう私はこれが欲しくて身悶えしていました。

あの会社が潰れるなんて・・・・・・

かなり借り入れ(他人資本)が多い⇒今風に言えば、レバレッジを掛けた経営だったようですが、取引銀行から借り入れ運転資金の延長を断られた事が直接の原因だったようです。デレバレッジが進行する過程での犠牲者といってよいのでしょう。

更に・・・米国の不動産に未練を持つ私が最近の動向をインターネットでチェックしていたところ、私が借りていた家のはす向かいの家が売りに出ているのを発見しました。まだ私が米国に居た2005年に売買されていたその隣の家の価格と比較すると間取りの違いを考慮してもなお結構売値が下がってきている事がわかります。

やはり身近な事例で示されるととても実感が沸きますね。

 "実感が沸く"という日本語の英訳候補も色々とあるでしょうが、今回の事にちなんで、"実感が沸く=イメージが鮮明になる"という置き換えをすれば、 "It really gave me a sharper image." なんて言ってもよさそうですね。

2008年3月28日金曜日

A long line of people & A long lower shadow.

"A Long line of people" was behind "a long lower shadow".

日本の会計年度末が近づいてきました。

 次の月曜日が3月31日ですので土壇場の攻防が為替市場で見られるかどうかは大きな注目を集めそうですね。

 一般に月曜日と言うのは落ち着いた取引となる事が多く、特に東京時間はあまり大きな動意を見せる事は少ないと言う印象がありますが、一方で週末にG7会合などの重要イベントがあった時などを中心に動く時は半端ではない値幅を見せる事もあり、金融市場の混乱が続く中での年度末は一応の警戒をしておく必要があるでしょう。

3月の第2週中盤に100円割れを示現したドル円が翌第3週に95円77銭までの急落を見たのもまさに週初でした。

一方で、少し頭を冷やそうかと言う話もあります。

上記の通り3月の第2週中盤に100円割れを示現したドル円は翌第3週に95円77銭までの急落を見たのですが、その後は足早に値を戻し、98円台~100円台を中心としたレンジ取引に収束してきました。

また、このドル円が急落した3月第3週の値動きについて、ロウソク足チャートで見た"下ひげ"の長さが一部で話題になっています。

(参考)ロウソク足の基本(出典 StockCharts.com)

Candlestick Formation examples from StockCharts.com

つまりは、あの週は週所に95円台に突っ込んだ後に結構な反発が続き、週末の終値は週所の始値よりも高い"陽線"で終わったこともあり、95円台までの円高ドル安はWeeklyチャートでは実態を伴わない"下ひげ=Lower Shadow"となったのです。再び綺麗に纏まっているStockCharts.comの絵で見れば、以下の例の右側のパターンになったと言う事です。

Long Shadows Candlestick example from StockCharts.com

この"下ひげ"の長さが、話題になっているのですが、どうやらWeeklyで見た場合の3月第3週の"下ひげ"の長さは、恐らく最長記録の更新なのではないかという話になっています。つまり、週足チャートの下ひげの最長記録を塗り替えた と言う事になります。

チャート解釈上は、"下ひげが長い" = "底打ち反転" ではありませんが、モメンタム分析上は追撃売りなどの下落加速方向よりも利益確定や逆張り買いなどのカウンターインタレストが多かったと言う解釈となり、一定の重みを持ちます。

 実際に、あの時の上昇は値動き的な印象で言っても買いオーダー(Bid)があって止まったというものではなく、積極的に売値を叩いて買い捲る動きがあったという事は間違いありません。

 確かあの週は翌火曜日か水曜日のドル円の上昇幅が9年ぶりの記録となるなど95円台は少なくとも短期的なボトムになる可能性を感じさせる動きではありましたね。

ところで・・・・

面白い話を聞きましたので紹介しておきます。

公式データではなく、AnecdotalなEvidenceという感じなのですが、3月17日の月曜日に友人のご母堂が吉祥寺という街にに出掛けたそうなのですが、色々と行列が出来る店のあるこの街に、あの日だけ普段は出来ない場所にどこよりも長い行列が出来ていたそうです。

興味を持ったこのご母堂がよくよく観察したところ、なんと列は金融機関の支店の中へと続いていたそうで、更に確認すると列の先頭はリテールの外国為替課の窓口へ・・・・どうやら午前中のニュースで円の急騰を知った人々が金融機関に外貨買いに走ったと言う事だったようです。

外為証拠金取引などをやっていれば支店に出向く必要は無いのですから、今回の円の急騰は普段は外貨取引などをやっていない人々までをも外国為替市場に引き込んだと言う事が出来るでしょう。

"長い下ひげ"の背景の一つが"人々の長蛇の列"だったというのは、ちょっと面白くありませんか?

Long line of people contributed to that long lower shadow.

外国為替課の窓口・・・・そう言えば私が後に妻となる女性と最初に出会ったのもそういう場所だった事を思い出しました。

こちらのLongは、"Long ago"のLongですけどね・・・

2008年3月23日日曜日

花粉でギャフン・・・


昨年は大丈夫だったのですが、今年は花粉症のトリガーが引かれてしまったようで目と言い鼻と言い・・・大変な状態になっています。

環境が変わると最初は大丈夫で2年目、3年目から新しい環境の花粉等へのアレルギー反応が始まると言われているので仕方が無いかなと諦めていましたが、何でもスギ花粉の飛散量自体が昨年の3倍以上とか・・・・・・・これは無茶苦茶ですね。

元々季節に関係なくハウスダストというのでしょうか・・・埃っぽいものに反応しやすく、ひどい時にはジンマシンが出る体質なのですが、最近はこれは影を潜めており、一方で目の痒みや鼻のグジュグジュに悩まされています。

米国にはスギは少ないようで花粉症は大体がブタクサが問題になるのですが、日本は圧倒的にスギですね。逆に日本ではブタクサというのは聞いた事が無いですね。豚臭い人はいますが・・・・

 後は個人的に中国から飛んでくる黄砂なるものの影響も疑っているのですが、毒入り餃子事件で中国サイドでの混入可能性を否定したばかりか、黄砂の発生源が自国である事も否定し、国家機密として自国の黄砂情報の公表も拒否する中国の姿勢はやや心配ですね・・・・

同様に心配なのがこの日本なのです。この花粉症にしても、現代の文明病であり昔の人は平気だったと言う説は必ずしもあてにならないようで、実際はそもそも飛散する花粉の量が全く比較にならないほど現代の方が多いようです。

 でもスギの木なんて減少しているのではないのかと思うのですが、実際にその通りで、何故花粉の量が増えているかと言えば主要な要因のひとつは林業が衰退して手入れが行われなくなって随分と荒れてしまった山林のスギの木から、大量の花粉が飛散するという状態が放置されている事だそうです。

オシベの花粉がめしべに受粉して種子が出来る訳ですが、絶滅の危機に瀕した木のおしべから子孫を残そうとして大量の花粉(=ある意味で精子ですね)が発射されていると言う事です。

 これが我々の眼や鼻に付着して痒くなるのですが・・・・・粘膜違いもいいとこですわ。

一方で、こちらはある意味で間違いなく文明病的な側面なのですが、我々の体には異物を攻撃する自衛隊のような連中がいて、彼らが活動をするとヒスタミンという物質が出てアレルギー反応が起こると言う流れとなります。

昔は・・・・と言っても恐らくそう遠い昔でもないのでしょうが・・・・多くの人の体内に所謂回虫や寄生虫が存在しており、人間の体内の自衛部隊のよきライバル(?)だったそうです。そしてそういう時代には花粉ごときには構っている余裕は無かったそうなのですが、世の中が衛生的になり回虫や寄生虫は滅多にお目にかかることはなくなりました。

 好敵手を失った自衛部隊は、目線を変えて花粉やハウスダストなどを相手にするようになり、それが現代人のアレルギー体質を増やしていると言う説があるそうです。

ところで・・・・英語で花粉症は "hay fever", 花粉そのものは "pollen"で、時には"pollen allergy"という言い方もしています。

 先日、英国からの顧客を友人が接待したのですが、街中の人々が密着型のマスクをしているのを大層不思議がっていたそうです。

 そこでこの友人は、日本人の多くは花粉症で、今この国はそこら中が花粉だらけなのだという説明をしたところ先方は大層驚愕し、何故か無口になったので不思議に思ったそうです。

彼は帰宅してからも気になってよくよく考えてみると、"pollen=花粉"という言葉が咄嗟に出ずに何故か"fungus=ばい菌"という言葉を使っていた事に気が付いたそうです。

英国人ゲスト(女性)は、日本はそこら中にばい菌がうようよしていると言うイメージを持ってそそくさと帰国したのではないかと大笑いしました。日本への投資は、考え直すかもしれませんね・・・

 この友人は、所謂帰国子女という分類の人なのですが、誰でもこういう失敗をする事はありますよね。

いずれにしても早く花粉が収まるといいですね・・・・

スギたるは、及ばざるが如し。 ばい菌よりはいいけど・・・

2008年3月22日土曜日

A will finds a way.

久しぶりに少し個人的な事を書くと、私にはずっと歩いてきた一本の道がありました。ちょっと大袈裟ですが私はその道を歩きながら実に多くの人々と出会い、影響を受け、自分なりに成長も出来たと思っています。

ほぼ1年前に日本に来てからは、全くではないにしても少し違う道が用意されていました。

 戸惑いながらもこの道を歩く事で私はこれまでとは違う多くの経験もし、これまでとは違う種類の人々との出会いもありました。中には素晴らしい出会いも・・・

時代の趨勢としては、今の新しい道の方が注目もされるし陽も当たる太い道である可能性があるのですが、私はいつもかつては自他共に自分がそこを歩くと考えていた元の道の事、今でもそこを歩いているかつての仲間達の事が絶えず気に掛かっていました。

以前はもっと太かった元の道に戻るよりも、今の道を歩き続けた方が賢いのではないかと言う助言を貰う事もありますが、先が細っていく可能性があるなら尚更自分はそこに戻って微力ながら汗をかくべきではないか・・・・・・自分を育てたその道を今度は自分が守るべきではないのか・・・・・そんな気持ちが強くなっていくのでした。

そして・・・・最近立て続けに私の迷いを深めるようなショックな話を聞いて考えさせられています。

今では複数の金融機関に分かれていますが、かつて一緒に働いた、或いは私の元から巣立っていった後輩達の何人かの評判が非常に悪いようなのです。
 異なる複数の筋から、中にはそもそも私と彼らがかつて一緒に働いていた事など知りもしない人達からもたらされる情報の中で、"業界の困った人"、"業界の勘違い男"というような形で後輩達の名前を聞いてしまった時の私のショックは筆舌に尽くしがたいものがありました。

今や自分を過大評価出来るくらいの大物になっているなら、その事は良かった。本当に良かったと思います。しかし、私の経験の中でもGood traderには多種多様な人達がいましたが、Great traderは例外なく Great Personでもありました。(逆は必ずしも成り立たないのですが・・)

後輩たちにも是非、Great traderを目指して欲しいと強く希望します。彼らが全くの凡人である私から学んだり影響を受けたりした事が少しでもあるとすれば、時として殺伐としたこの業界の中でビジネス、人間、市場と言う物に対する敬意、畏怖、正直、公正と言うものを重視するスタンス位の物だったのではないかと思うのです。

私が元の道を歩みながら心がけていたのは、利己主義の塊のような金融市場の中にも間違いなく存在している善意と言うものの一部分でありたいと言う事です。
 そしてもし・・・(というか・・どうやら・・・?)私が元々歩んできた道に戻る事が出来ないのであれば、是非ともその志を後輩たちに引き継いで貰いたいと思うのです。名前の出た後輩達の多くに対して私は最早物を言う立場にはありませんが、彼らには初心に帰って王道を歩んでもらいたいと強く望みます。

Where there is a will, there is a way.

道を作るのは志であり、その逆ではない事をしっかり覚えておこう。

万が一心当たりがあっても決して私や周囲に確認しない事。確認する相手=答えを持っているのは自分自身だけなのだから。

2008年3月17日月曜日

One sentimental memory.

ドル円が100円以下で取引される円高ドル安は1995年以来なのですが、実はまさにその1995年の4月にドル円は80円(正確には79円75銭)という史上最安値をつけています。

今でもはっきりと覚えていますが、当時は誰も80円で止まるとは思っておらず、例えば通貨オプション市場でも2ヶ月とか3ヶ月と言う期間で60円台の行使価格のドルプット円コールが物凄い勢いで購入されていました。

相場はその後反転して何と150円を阻止するために本邦当局がドル売り円買い介入をするところまで行ったのですが、5年とか10年程度のスパンで見ても相場の振幅は相当なものだと今更ながらに思わされます。

さて・・・

その大部分を100円以下の円高ドル安水準ですごした95年当時の記憶の中で今でもよく思い出す話の1つを書きます。

当時私はNYにおりましたが、ある時尊敬する先輩から電話を貰いました。その日の日経新聞に出ていたある電機メーカー社長のインタビューが偉く格好いいから読みなさいという話だったのですが、普段は冷静沈着な彼にしては随分と興奮していたのを良く覚えています。

早速私も記事を探して読みましたが、インタビューでこの社長が述べていた事は確かにポイントを押さえた正論であり、ある意味痛快ですらあった事を覚えています。勿論一言一句は再現出来ませんが、要点は以下のような物だったと思います。

円高で世間は大騒ぎをしているが理解に苦しむし、恥ずかしい事だとすら感じている。為替市場を含む金融市場の仕組みを正しく理解している人ならば全ての通貨が上下に振幅するものであり、時としてその振幅の幅は想定していなかった水準で起こりうると言う事は常識であり、国際舞台でビジネスを展開する企業の経営者として当然認識され、一定の対処もなされていなければならなかった経営リスクの一つだった筈ではないのだろうか。

そのリスクが具現化した時にあたかも天変地異のような大騒ぎをして自らが何らリスクをヘッジしてこなかった事を棚に上げて国に為替介入等を働きかけるのはこの国の経営者の水準が未だ他国に遅れを取っている部分ではないのだろうか。

手前味噌の話になるが、自社は従来から出来るだけ為替市場の変動の影響を受けないような対策を取って来ており、今回の円高による影響は極めて軽微だ。我々は国際的に生産能力も販売網も分散させてきており、通貨が安い国や地域での生産活動を増やし、通貨が強い国や地域では販売活動を強化するという柔軟な対応を可能にしている。これによって生産コストを抑え、売り上げを増やす事ができると言う事である。

円高のせいで、売り上げや収益がどれだけ減少したかと言う恥ずかしい話を公言している企業もあるが、それは残念ながら経営の失敗であり、市場の問題ではないのだ。

私もこの話には大いなる感銘を受けた事を覚えています。今回の円高に関して再び経済界などからも様々な発言や要望が出ていますが、95年当時の80円を割り込む局面すらあった円高体験から日本の経済界、特に輸出企業が学んだ事は何だったのか・・・・? そのような視点でも今後の動向を見て行きたいと思っています。

さて・・・・

なぜ今日の標題が、One sentimental memory なのか・・・・と言うと・・・・・・私の認識が間違っていなければ、この見事な持論を展開された社長の電機メーカーは、その後日本を襲った長期不況の中で大幅な業容縮小を余儀なくされて現在では当時のような誰もが知っている国際企業という存在ではなくなっているからです。おそらくこの社長が退任された後の事だとは思いますが、為替変動リスクには機動的に対処したこの企業でも、他の経営リスクへの対処をどこかで間違えたという事だったのかもしれません。

ずっと後にこの企業の経営問題が新聞などにも出るようになった時に、私はとても感傷的な気持ちになって、企業経営、組織の維持というものの奥深き難しさに思いを馳せたものでした。

Although life is sometimes tough and rough, let's take it and just move on.

All the best.

Robert Henry.

A value of currency....................


3月13日の木曜日に1995年以来の100円を示現したドル円は99円台後半から101円台前半までの狂ったような振幅を消化して金曜日には98円台まで突っ込んだ後辛うじて99円台まで戻して週の取引を終了しています。

1ドル=100円 というコンセプトで何かよいCatchを探したのですが思い浮かばず、結局は「百文は一見にしかず」と言う諺に掛けて、「1ドルは百円にしかず」という標題でレポートを書きました。

A look is worth a thousand words.......Now a buck is worth a hundred JPY.

銀行や証券会社のレポート類で私が唸ったのはUBSのレポートで、"Yen tops a cent." だったと思いますが、1ドル=100円という事象を要するに1セントと1円の価値が等しくなったのだと判断し、100円以下に突っ込んだ99円台の円高であれば、ついに1円が1セントの価値を上回ったのだと表現していました。お見事です。

さて・・・・・・・・・・・・

今更ながら1セント硬貨と1円玉を並べて良く考えてみると、面白い事に気が付きます。

1 面積、体積は大体同じ。

2 材質は1セント硬貨が銅で、1円玉はアルミニウム。

3 従って重さは1セント硬貨の方が随分重い。

4 商品市場における、銅とアルミニウムの価値は・・・・・・・・?

そうです・・・・・・・・銅はアルミニウムよりも比重が大きいので同じ体積(大きさ)であれば銅のほうが重いのですが、通貨として持つ重みは材質としての重みを逆転する事があります。

 更に、両者を溶かして純粋にほぼ同量の銅、アルミニウムとして商品市場に出した時の価値とそれを1セント、1円という「通貨の衣」に押し込んだ時の価値の上下関係は逆転し得るのです。

学歴、勤務先などの看板、箱物による人物判断などが根強く残る日本の価値観には強い問題意識を持っていますが、どうやら通貨の世界にも類似の価値尺度があるのかもしれません。

通貨の価値は、文字通り通過性の高い一過性のものなのかもしれません。

祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。

特別にドルがどうとか、ユーロ、円がどうと言う問題ではなく、結局金融市場というのはこの平家物語の有名な件に表現されるような極めて仏教的な側面を色濃くはらんでいるという事実に改めて思い当たります。
原油安でOPECが助けを求めていた時期も、導入後に大幅に売り込まれて欧州で統一通貨ユーロの導入が後悔されていた時期も、金が数十年と言う規模で低空飛行を続けていた時期も、ドル円が79円75銭まで円高になった後、148円水準の円安となり本邦当局が必死に円買いドル売り介入をしていた時期も・・・・・全てがこの10年強という過去の時間帯での出来事なのです。

確認しましょう・・・・・・・・

物事にFair Valueなどないと思った方が良いのです。あるのは不完全且つ非効率的な市場だけです。市場の瞬間ごとに一時的に均衡する価格は、その瞬間の事実を伝えますが、それは真実ではありません。

真実は絶対的な存在のみが決め賜う物であり、ある意味では金融市場は修行の場であり、神との対話を試みる場であるのかもしれません。

先入観、欲望、恐怖、イデオロギーなどは悪魔の囁きと心得ましょう。今は特に真っ直ぐな気持ちで相場に向き合う時です。

2008年3月11日火曜日

Power of Steroid.



今、春が来て君は綺麗になった・・・・

イルカさんの名曲、名残雪のメロディーを口ずさみたくなるような気持ちで私は今自分の左手を見つめています。

本当に綺麗になりました。そしてステロイド剤というものの即効的なパワーには本当に驚いています。

写真の最初の赤いキャップのチューブは弱いステロイド剤で私が夏場に顔面の髭剃り後などが妙に荒れてしまい、近所の皮膚科で処方してもらった薬です。

診断名は「汗疹(あせも)」でちょっと恥ずかしい感じでしたが、2回か3回の使用で完治してしまったと思います。

その後冬になると私は左手の時として耐え難い痒みを伴う肌荒れに悩まされ始めました。それはやがて小さな水泡を発するようになり、範囲も拡大していった事から私は水虫を疑い始めました。

最初は職場の近くの医者に行きましたが、所謂主婦湿疹との診断で写真中央のやや強いステロイド剤を処方されました。しかし、患部をろくに見もしないでステロイド剤の強弱や症状別のフローチャートから目を離さずに患者から症状を聞いて薬の選択だけをしているとしか見えない診断態度に不信感を覚えた私は更に近所の皮膚科に相談しました。でもそこでも私の水虫懸念は一笑に付されて全く同じステロイド剤を処方されたので私は納得して黄色いチューブのステロイド剤を薬局で処方してもらいました。

ところがこれが全く効かなかったのです。

症状の方も小康状態だったのですが私の左手は薬を塗ると症状が悪化するような傾向を強めていたので、私は薬を塗らずに殆ど放置していました。そして2008年度に入った辺りから症状は悪化の傾向を強め始めたのです。

ガマガエルの肌・・・・そんな表現が思いつくくらい、私の左手は乾燥してヒリヒリし、水泡の幾つかは米粒くらいとなり、中の液体もやや黄色がかってくると言う見るも無残な有様となっていったのです。

左手を見せた同僚に、かつて彼が足で経験した水虫と症状が酷似していると断言されて色々とインターネットで情報を集めた私は、水虫はステロイド剤で強化されるので湿疹と間違えてステロイド剤を塗ると最悪だと言う記述を見て失神しそうになりました。

不安を抱えて辿り着いた近所の皮膚科で、私は医師に遠慮をせずに疑問と不安をぶちまけました。医師は少々動揺の色を見せましたが、かなり精密に患部を調べ、水疱を潰したサンプルを顕微鏡で長時間検査した結果、水虫の可能性を再度全面否定しました。

診断は前回と同じ"汗泡湿疹"とかいうもので、季節外れに手が汗をかこうとしても汗腺が閉まっていてそこに水泡が出来るというものでした。これが痛かったり痒かったりするというものです。

前回症状が改善しなかったのは、ステロイド剤の強度が不十分であったのだろうと言う事で今回は更に強いステロイド剤を処方してくれました。

疑心暗鬼のまま薬局に向かい、この薬を受け取った私は、「これは結構強い薬ですが何に使うのですか?」と薬剤師に確認されて少々不安にもなりました。実はやっぱり水虫で強いステロイドでスーパー水虫になって治らなくなったらどうしようかと思ったのです・・・・

結論は、専門家の全面勝利でした。写真の一番下のミドリのキャップのステロイド剤を塗った直後にこれまでとは違う症状の改善を感じ、3日もすると左手は見る見る綺麗になっていきました。私の同僚も私が水虫ではなかった事を残念がりながら、短期間ですっかり綺麗になった私の左手を見て非常に驚いています。

ステロイド剤のパワー恐るべし・・・・・

今問題となっているメジャーリーグのクレメンス投手など、スポーツ界でも禁断の魔力を発揮してきたステロイド剤ですが、副作用も無視できず、皮膚科の軟膏でも長期間は使用しないと言うのは鉄則のようです。

米国経済は、ステロイド経済だったと言う指摘があります。いよいよその副作用が出てきたのだという指摘なのです。

2008年度はスポーツ界同様、経済の分野でもステロイド判定が下る年になる可能性があります。

2008年3月10日月曜日

Sincere gratitude to God and all my friends.




Time flies.......


It has been a year already since I started a new cahpter of my life with my family in Tokyo Japan.


The first couple of months were, to be frank with you, terrible at best. I had a problem with almost everything around especially at work. I felt I was surrounded with crazy people and crazy politics.


I found myself hitting a plateau in Summer and maybe early fall. But I tried to stand my ground and I was also encouraged by the fact that my family members were pretty smoothly blending in a new circumstance in a neighborhood and at school as well after joining up with me here in early July.


It was in early November that I suddenly found myself enjoying what I was doing with my team mates at my new asignment or chanllenging endeavor.


I would like to take this opportunity to send my sincere gratitude and best wishes to all my friends that supported me, worried about me and cheered me up over the course of this past year.


Stepping into a second year here, I've come to like it here much better than I did a year ago and will try to make this a better one for me,my family and everyone.


I wish you all the very best of luck for your endeavors this year. Let us grab the time together now. Thank you very much and best regards from my " Eternal Lighhouse".






Sincerely,

Robert Henry.

Big performance of JPY over USD.

週末にはドル円が101円台前半まで下落する展開となりました。2005年の一月につけた101円67銭を更新する円高ドル安となった訳です。

週を通しての最大イベントであった米国の2月雇用統計における非農業部門新規就業者数(NFP:Non Farm Payroll)が予想を大幅に下回るマイナスとなった事でドル売りが進行し、特にユーロ、英国ポンド(GBP)などが相場を引っ張る格好でした。

①米ドル売り、②Risk Aversion/Reduction という二つの要素が交互に、時として同時に市場を駆け巡る展開が目立ちますが、両方とも日本円に関しては上昇圧力となる事が多く、現在は102円台まで小反発しているドル円も今後月内にも100円割れを目指すシナリオが有力ですね。

①の米ドル売りに関しては、少なくとも経済指標などの目に見える形では世界経済に対する米国経済減速の影響は大したことは無いというDcouplingシナリオが生きている間は当分燻ると思われますが、これはタイムラグの問題との見方も根強いので慎重に推移を見守る必要があります。

②のRisk Aversion/Reductionに関しては世界中の株式市場を筆頭に Paper Asset売りが加速している事からも今後相当期間金融市場のメインテーマであり続ける可能性が高く、今後の円高シナリオの主要な原動力であり続ける事でしょう。

週末、週初と株式市場の不調は相変わらずで、週明けの東京株式市場のレポートを読んでも全く海外から日本への投資が行われていない事がわかります。(海外勢の注文はずっと売り越しです)
 
際立つ低金利を背景に世界の調達通貨として国際的な地位を獲得した日本円にリスク縮小の買戻しバイアスが掛かる"悪い円高"であり、多くの人が考えるような米国中心に世界主要経済が問題を露呈する中で日本の相対優位が見直される形での"良い円高"と言う状況は全く生じていないという認識が正しそうです。

愛国心やイデオロギーを脇において冷静に見ていく事を心がけましょう。Bright Sideで言えば、円高メリットの一部には悪い円高であっても実現するものもあるので、こういう部分に焦点を当ててよいモメンタムを作っていく事を為政者は心がけるべきだと思います。原油など多くの輸入品の物価が下がる事などはその最たるものでしょう。

この2週間でシカゴ商品取引所の通貨先物における円にも、NY証券取引所における日本円のCurrencyShareにも本邦年度末要因にも期待する投機家の資金が怒涛のように流れ込んでおり、後者は週初に新高値をつけています。

Big performance of Japanese YEN.....これが最終的には良い円高となって日本経済が本当の意味での復活を遂げてくれると良いですね。 それには当局者の人事を一新する事が不可欠のような気もしますが・・・・おっと危ない、危ない・・・

2008年3月4日火曜日

Re-flation vs Re-cession

黄色 AUDJPY、白 USDJPY、オレンジ S&P500

週初から円高は102円台に突入しています。

これまで静観(傍観?)姿勢が目立った本邦勢の動きが活発化してきたようです。本日にしても月曜日の東京市場としては最近には無い活気と出来高を記録していた事でしょう。

米国の景気減速が鮮明度を増している中で、積極的な利下げと流動性の供給が行われている訳ですが、現時点ではまだ金融市場に以下の二つの潮流があるといえるでしょう。

①Re-flation

Creditが良い人々が潤沢な流動性を利用して新興市場などに積極的な投資活動を行う。

②Re-cession

新規投資に慎重な姿勢が強まり、既存の投資リスクにも縮小バイアスが強まる。

サブプライムなどに全く関係の無い勢力が無傷のCreditやレバレッジをフル活用してRisk Takeに動けば①、先行き不透明感からRisk Aversion/Reductionの動きが拡大するようなら②の潮流が優勢となりますが、冒頭のチャートでこのあたりの潮流間の綱引きを確認する事が出来ます。

あまり綺麗なチャートではありませんが、右半分で見れば上からAUDJPY,USDJPY、S&P500のグラフを重ねています。

注目に値するのはAUDJPY です。このペアはとても面白くてAUD(豪ドル)がRe-flation通貨の代表格で、JPY(日本円)がリスク回避通貨の代表格なのです。
 2008年度に入り、S&P500 とドル円が下落してRe-cessionモードを演出する中で、AUDJPYだけが上昇していた事がわかりますが、これはPaper Asset(S&P500)を売ってReal Asset(Commodity)を買って置けば心配不要と言うRe-flationセンチメントが支配的な潮流となってきた事を示しています。

それが、先週後半からAUDJPYのチャートが鋭角的に折れてS&P500とUSDJPYのチャートを追いかけ始めていますが、これは他でもなくRe-flationシナリオからRe-cessionシナリオへの潮流の変化を示していると考える事が出来ると思います。

もしもこの動きが定着するならば・・・・? どこかでCommodity市場にも揺らぎが出てくる事になります。無尽の野を行く貴金属や原油価格などは落ちるのでしょうか? Commodity 通貨群には明らかに調整色が強まっているのですがどうなることでしょう・・・・

金、原油、中国株・・・・ここに埋まっている地雷には要注意です。

2008年3月3日月曜日

JPY JPY JPY comes on the center stage.



通貨市場で日本円が台風の目となってきました。
米ドルが他の主要通貨に対する下げ足を早める中でユーロや豪ドルに対する日本円の出遅れ感等もあって先週の前半はドル円は下がるものの、AUD円などのクロス円は堅調という展開も目立っていましたが、ここへ来てRisk Aversionモードの復活などを背景に日本円が他の主要通貨をOutperformし始めており、先週の後半にはドル円、クロス円が揃って下落と言う展開になっています。
ここで無視できない一つのデータがあります。
シカゴ商品取引所(Chicago Mercantaile Exchange)の通貨オプションの出来高なのですが、先週は2月27日の水曜日に過去二番目となる取引高を記録したのを初めとして週を通して記録的な取引高を記録しています。
そして・・・
その中でも取引数(コントラクト数)でも取引高(ボリューム)でも突出しているのが日本円の取引だったのです。
当然ですが、本邦実需勢がシカゴ商品取引所の取引に直接参加しているということは無い訳ですから、これは海外の投機筋がここからの日本円のパフォーマンスに大きく期待していると言う事に他なりません。
年度末となる3月の本邦実需筋の動向に注目が集まる中で、海外勢は着々と仕込みを行ってきたのだと考えてよいと思います。
もう・・3月・・・いよいよ3月・・・ですね。

2008年3月2日日曜日

GOLD vs USD : History chose to repeat itself.

米ドル急落ですね。

テクニカル分析やサイクル理論による日柄や、本邦勢の会計年度末という季節要因も顕在化する3月から急展開と言う可能性が意識されていた中で、2月最終週の後半から一気にドル下落が加速しており、月末と週末とが重なった先週の金曜日の終値ベースで、ユーロは対ドルで1.52台の新高値、週半ばに105円を割り込んだドル円は、103円台に突入しています。

900ドルに到達してから小規模な調整を経て、上昇軌道が再開してから短期間で1000ドル相場を視野に入れ始めた感のあるGoldですが、実はここへ来て粘り越しを見せる米ドルとの間で奇妙な綱引きを演じていました。

歴史的に、Gold価格の最高値は、全て同時 or ごく短期間のラグをもって達成されるUSD INDEXの最安値とペアを組んできましたが、今年はGOLD価格の最高値が一人旅を続ける格好でUSD NDEXは新安値を付ける事を拒んできたのです。

これは、2008年度は米ドル以上の下落が予想されるGBP辺りが米ドルの独歩安という絵の実現を妨げていたという要素があったと思いますが、先週ついにUSD INDEXが新安値をつけて米ドル下落が広範に加速しました。

これで当分は、米ドルの下落が金融市場の中心テーマになるのではないでしょうか。その後一定のラグを伴って欧州、日本、アジアの経済がどの程度失速、減速して行くかが次のテーマとなるでしょう。

Goldの高値とUSD INDEXの安値の揃い踏みが達成された事⇒歴史が繰り返した事で、当面はドル安で決まりと言うところでしょうか。