注目された米国の4月の雇用統計ですが、市場の事前予想を下回る内容でした。
①新規雇用者数の伸びが115千人 (事前予想の平均は170千人)
②労働参加率の低下 ⇒ 継続的求職活動をしている失業者の減少
③失業率は8.1%に低下⇒3年振りの低水準
④所得、労働時間数ともに頭打ち傾向
①に関しては3月の数字が上方修正されましたが、2ヶ月連続で市場の期待を下回ってしまった事には変わりはありません。
②に関しては非常に心配なデータとしか言いようがありません。一旦諦めてしまったのか、生活保護のようなプロセスに入った人達が少なく無いと言う解釈になります。
③は一見、せめてもの改善点のようにも見えますが、失業率を計算する時の分母が減少した事によるテクニカルな改善でしかない事が明らかです。これが②の意味でも有ります。
④も説明不要でしょう。
この項の標題にも書きましたが、ここに来て頻繁に"Catch-Up"需要と言う言葉が聞かれる様になりました。
過去数年間続く経済危機を受けて企業が過剰に雇用を抑制して来ていた物が、一気にリバウンドするかのように緩和される現象が起きており、足元の雇用データの改善はまさにこの動きであったと言うのです。
またこれは、嬉しい誤算でもる自動車販売の好調さにもいえることであり、経済危機の中で自動車の購入や買い替えを自粛してきた消費者達からのリバウンド需要が背景であるという見方も可能です。
要はCatch-Up需要であれば、やがて失速、減速すると言う事なので今後の経済指標には細心の注意を払っていく必要があります。
少なくともこれで長期金利の上昇圧力も一旦後退するでしょうし、可能性が薄れたとも考えられていたQE3実施シナリオが選択肢として復活してくる事になりそうです。