2013年10月20日日曜日

Devided States of America? : Leaving the World Uncomfortably Confused.

Dollar Index  ⇒ Losing Ground After the Deal.

米国の政府と議会の債務上限を巡る駆け引きは金融市場にもその先行きにも大きな爪痕を残した可能性があります。

ねじれ議会は判りますが、下院共和党が断固反対するオバマケア(国民皆保険)阻止の為に、まさか国家財政の資金繰り問題を人質にするような戦略は木を見て森を見ず的な失敗ではなかったのかと危惧します。

現在は先進国はどこも問題を抱えており、お互いがそこをあまり攻撃しない形での微妙な秩序と安定が保たれていると言って良いと思います。(詳細は敢えて深入りしませんが・・)
 その中で、米国は自ら腸をさらけ出すような事をしてしまってはいないかと心配になります。

下院の共和党勢力の有力基盤はあのTea Partyです。彼らの主張は色々ありますが、建国の父達(Founding Fathers)が定めた国是に反するような米国の現状を是正しようと言うのがその根本思想であり、その中には「米ドルは健全な通貨であるべし」と言う国是に反してその価値を無理やりに減価させるようなQE政策(量的緩和)にも大反対してきた勢力です。

その国是に基づけば、中長期的な財政再建を担保しながら足元の円滑な資金繰りは命綱であり、この自国のアキレス腱を世界中に再認識させてしまった結果として起きているのが先週終盤の米ドル急落と言うのは皮肉な事です。

米国の二大政党の基本理念は、以下のようになります。

共和党 ⇒ 小さな政府 ⇒ 国民は政府より賢いとする
 ⇒減税や自己責任が好き。

民主党 ⇒ 大きな政府 ⇒ 政府が国民を守るべき 
 ⇒ 行政、福祉機能の拡充が好き。

貧富格差が広がってしまった米国は医療費も高額で貧困層が医者にも行けない状況も生じており、民主党としてはクリントン政権もオバマ政権も日本の様な国民皆保険の導入に動いてきました。これは強制力を伴う仕組みであり、富裕層などからは自己責任、個人の自由と言う部分で強い反対が起きてきました。

そんな状況の中で、米国版の国民皆保険であるObamacareの導入阻止の為に民主党オバマ政権の資金繰りを脅かすと言うのが下院共和党の戦略であった訳ですが、流石に共和党内部からも過度の強硬姿勢への懸念や、幾らなんでも国の信用を代償には出来ないという意見も強まった結果が先週の暫定合意だったと思います。

その結果、米国は世界中の債権国から不安視されてしまい、この問題に専念せざるを得なくなったオバマ大統領はAPECやTPPなどの国際会議をも欠席する事になり、覇権国としての米国の後退と中国の台頭がより鮮明に印象付けられる結果にもなっています。

将来の歴史の教科書に、この事象は時代の流れとして最早不可逆の潮流が進行する中での米国のドタバタ劇だったと言う形で既述されてしまう事になるのでしょうか。米国は自らその道を選択しているようにさえ見えてしまう今回の出来事だったと思います。個人的にもとても心配ですね。