一般に投機筋の持高をトレースする時のデータにIMMの先物市場におけるポジションの偏りがあります。
凡そ私のような凡庸な市場参加者は、その類のデータを見て驚いたり感心したりするだけなのですが、こういうものをきちんと分析して統計的な意味付けを行っている勤勉な人達がいます。
ご参考までに現状に関する分析では、我々が感覚的に感じている方向とは正反対のシナリオの方が統計学的な再現性としては断然高いということのようです。
1 Currencies
為替の動向としては、先週初位まで色濃く存在した米ドル、日本円、日米独の国債をロングにしてその他は何でもショートというような風潮は明らかな行き過ぎであり、先週のベクトルは単なる調整に終わらずに持続的なトレンド転換となる可能性を見ているようです。
EURもAUDも市場のショートポジションのサイズは行き過ぎており、センチメントとしては2008年のLehmanショック直後に匹敵する水準であり、その時にはそこから数ヶ月間米ドルが大幅な下落をしています。
EURUSD⇒黒が値動き、青がIMM持高 |
AUDUSD⇒黒が値動き、青がIMM持高 |
2 Stocks
ここ数週間での株価の動きは非常にトリッキーでした。今後は経済面でも政治面でもイベントや材料が多く非常に先の見通しが立ち難い中で変動幅は結構拡大傾向でもあります。
あるデーターソースによれば、大恐慌のあった1928年以降の株式市場で、株価が今年のように52週高値を更新した状態から10%の下落をした事例を探して分析すると、そのままベアマーケット入りして株価が続落したケースは30%未満と言う事だそうです。
勿論、今年の状況は過去のどのケースよりも根が深いのだという論説は可能ですので、目下のポイントは、欧州問題は従来の世界経済や金融の有り方を根幹から崩し去るようなパンドラの箱を開けてしまっているのかどうかと言う事なのではないかという気がします。