2013年6月23日日曜日

Review of the Week(6/17-6/21 2013)



6月17日(月)から21日(金)までの週は、週初から2日間アイルランドで開催されたG8会合では金融市場に大きな動きは出ず、予想通りではありましたが週半ばの米FOMC会合における米国のQE3政策のTapering(縮小)議論の趨勢が鍵を握る展開となりました。先週のReviewとしては、このFOMCのサマリーとその後の金融市場の動きを中心に纏めます。

1 6月19日(水)のFOMC

日本経済新聞より
これまでFOMCの金融政策は国内のファンダメンタルズのみではなく国際情勢をも考慮して決定されてきました。国内経済は順調に見えても欧州や新興国などに不安があれば引締めを見送ると言うスタンスは何度も示されてきました。その意味では、今回も微妙な状況にあったと思うのですが、FOMCの結果は出口政策の提示に踏み込む内容でした。

QE3の縮小開始時期を"Later this year"とし、何と終了次期の目処までをも"Around midyear of 2014"とする踏み込んだ内容に、金融市場の最大公約数的な解釈としては”予想以上にタカ派的”と言う印象が広がりました。


2 金融市場の反応

・株式市場は売り圧力。
 
米Dow平均は$14,688まで売り込まれ、小反発した$14,799水準で越週。週次ベースでは1%程の下落となりました。MSCIグローバル株式市場指数は2.91%の下落で、同新興国市場指数は5.57%の下落となり、新興国市場に大きなダメージとなりました。$30 $1,297.7

・米債市場も売り圧力。(長期金利上昇)

10年債利回りは2.514%30年債利回りは3.567%まで上昇。共に2011年8月以来の高水準。

・貴金属、コモディティ市場に売り圧力。

金価格が20109月以来となる1オンス当たり$1,300を割り込む$1,297.7で越週。銀価格も1オンス辺り$30台を維持出来ず。

・為替市場は米ドル上昇へ。

ドルインデックスは、先週の80.51⇒82.31へ大きめの反発。為替市場全般に米ドル上昇、新興国、資源国の通貨が下落する潮流へ。ドル円も94円手前から98円台まで上伸。

3 その他イベント

・6月のBOE議事録 
 
6月のBOE議事録は政策金利の0.5%据え置きは全会一致。資産買入れプログラムの規模については、9人のメンバー中の6人が£375billionに維持する方向を支持。議事録公開後に英国長期金利は上昇、英国ポンドは下落へ。

・スイス中銀会合

SNBは市場予想通り8四半期連続で3mthLiborの据え置きを決定(0-0.25%)。EURCHFの下限許容レートも1.20で据え置き、2013年のGDP成長見通しも1-1.5%でUnchanged。自国通貨高傾向には改めて懸念を表明。

・6月のRBA(豪州中銀)議事録

政策金利を2.75%に据え置いた背景を明示。最近為替市場で売り込まれている豪ドルについては改めて通貨高懸念を表明し、追加の利下げも示唆。議事録発表後に豪ドルは続落へ。

4 補足

以上が先週のサマリーですが、ポイントはやはり米国のQE3政策に出口戦略が明示された事です。”景気が順調に回復を続け、失業率も下落している事が前提条件”とはされているものの、米国は出口の無い政策に踏み込んだとか、米国の量的緩和はQE5どころかQE7・・・QE10と際限なく続く底なし沼だと批判も浴びてきた歴史を考えれば、足元の米国経済の持続的復活傾向とも併せてBernanke議長は一種の勝利宣言を行ったと言う解釈も成り立つでしょう。