2012年2月19日日曜日

JOB by BOJ.


先週14日(火曜日)の日銀金融政策決定会合では、政策金利は据え置きとなりましたが、同時に追加金融緩和策が発表されました。

・長期国債の買い入れ枠を9兆円から19兆円に増額

市場の事前予想は今回も何もしないという読みでしたので、この動きは完全なサプライズであったといえるでしょう。

中央銀行が政府が発行する国債を買えば買うほど対価としての通貨が金融システムに雪崩れ込む訳ですから、量的緩和策のスケールアップと言う事になります。
 先進国の金融政策としては、ゼロ金利まで来てしまうとそれ以上の利下げは不可能(マイナス金利は無い)ですので、このような量的緩和の規模の拡大と時間軸の延長(購入する国債を長期債にシフトしていく)で対処していく事になります。

これは中央銀行のバランスシートの(急)拡大とその原因となった保有資産の質の劣化を招くと言う副作用があるのですが、背景には当局者達の背に腹は代えられないと言う強い決断がある訳です。

かねてより日銀ほど動かない(動く時は後手に回ってから)中央銀行も無いと言う批判があり、私自身も時折、日銀と仕事は対極にあると言う話をするのにBOJJOBが逆さ文字になっている事をネタにして来ました。

今回の件についても新聞などを見る限り識者と言われる人々の評価も様々なようですが、飽くまでも市場と言う観点から見れば好評価が当然だろうと言う気がしています。
 
迷走する政治状況を見ていると野田政権は結局円高も放置し、消費税も何も変えられずに終了し、どこかで世界が日本売りに動くと言う悪い円安シナリオの可能性が上昇しています。
 そんな中で今回の日銀の動きは、円安と株高を齎し、ボラティリティは下げているのですから良い仕事をしたと言う事になるでしょう。この動きを持続させる事が出来るかどうかはとても難題ですが、ここまでは So far, so good. と言う評価が妥当でしょう。