2013年8月25日日曜日

村田諒太のデビュー戦 / 井上尚弥の日本王者

井上、大差判定で日本王者=ボクシング
井上新王者(サンケイスポーツより)

最近の日本ボクシング界は世界王者の数も増えて相応の盛り上がりを見せています。JBCが更に世界王者を増やすべく(?)、従来のWBA,WBCに加えてIBF,WBOにも加盟する=世界王者を認定すると言う選択をした事は賛否両論ありましたが、今や時代の趨勢を見てもIBFはほぼ完全にWBAやWBCと同等の認知を得ていますし、WBOにしてもデラホーヤやハメッドなども最初はここから出てきたと言う実績もありますので個人的には「まーいいかな」と評価しています。

日本は、かつて格闘技先進国と呼ばれ、年末には総合格闘技のイベントが複数開催されていました。全盛期には視聴率でも紅白を脅かす程の盛況ぶりでしたが、諸事情あって殆どの団体が消滅状態となた今は是非ボクシング人気にもっともっと火が付いて欲しいと思っています。

そんな中で、本日行われた二つの試合はとても重要でした。ロンドン五輪金メダリストの村田諒太選手のデビュー戦と希代の天才ボクサー井上尚弥選手のデビュー4戦目での日本タイトル挑戦でした。日曜日の午後7時から生中継と言うのはTV局も既に世界戦なみの力の入れようでしたね。

先ずは井上選手の地元、座間で行われた日本ライトフライ級タイトル戦ですが、これは非常に好試合でした。アマで申し分の無い実績を残してプロ入り後に3戦全勝全KOと言う井上選手ですが、流石に田口良一選手(日本王者、世界ランキング3位)も実力者であり、非常な好試合となりました。結果は判定で新王者誕生となりましたが、井上選手の上昇志向と田口選手の意地がぶつかり合う展開に観客も大いに盛り上がりました。

一方、有明で行われた村田選手のデビュー戦ですが、何と相手は東洋太平洋ミドル級王者の柴田明雄選手でした。
 こちらは2回KOで村田選手が華々しくデビュー戦を飾った格好ですが、勝った村田選手には申し訳ないのですが、まだまだ日本はミドル級クラスになるとここまでレベルが落ちるのかと悲しくなるような内容でした。過去にはミドル級で複数の世界王者も輩出している日本ですが、井上選手と死闘を演じた田口選手と比べると、この柴田選手は動きは鈍いはパンチは全てアウトサイドからのオープン気味の猫撫でパンチだわで、もう初回から勝負は見えていた感じでした。
 勝った村田選手を讃えれば良いじゃないかと言う気もしますが、今日の相手は酷過ぎる。開始直後から村田選手に踏み込まれて強打を打ち込まれ、反撃はオープン気味のピンタのようなパンチを外側から被せて逃げ回るだけ。あれでOPBF王者(東洋太平洋王者)にはなれてしまうのでしょうか・・・・・
鮮烈デビュー!村田諒太、2回TKO勝ち/BOX
村田一方的勝利(サンケイスポーツより)

いずれにしても井上、村田の両ホープ選手が勝利した事はボクシング人気の盛り上がりにはポジティブな事ですので、今後にも大いに期待したいところです。

ただ、是非とも好素材だけに慎重にステップを踏ませながら育てて欲しいと思います。最近は特に防衛回数よりも多階級制覇やデビュー何戦目で王者と言うような短距離走のような記録を狙う傾向が目立つのが気になります。 その結果として、気が付くと王者になっていたり、数階級制覇したりしているものの、「何時誰に勝ったんだっけ?」と言う感じの世界王者すらいます。

最後に満開に花開いた西岡選手引退後、内山、井岡、山中と言う本当に世界に誇れる王者も出てきており、長谷川選手もかなり復調してきました。エセ他界急制覇とかデビュー最短なんて狙わずにサムライボクシングが恐れられるような歴史を作って行って欲しいです。村田、井上両選手にも地に足をつけたキャリアメイクを強く望みたいところです。

Review of the Week.(Aug.19 - Aug.23. 2013)

8月19日(月)~23日(金)の週のサマリーです。

1 Key Events.

①ニュージーランド
・NZ第二四半期PPI outputs +1.0%(市場予想+0.7%)。
・RBNZ⇒不動産価格を注視のコメント

②RBA(豪州中銀)議事録
・8月6日の金融政策会合の議事録を公表⇒メンバーが2.5%への利下げを強く支持。
・予想に反して今後の追加緩和も否定しない内容。
・豪ドル安がバランスの取れた成長をサポートするという見解も。

③本邦7月貿易統計
・貿易収支が▲0.94兆円も赤字に拡大。市場予想の▲0.73兆円を上回る貿易赤字。
・内容は輸出も輸入も拡大と貿易規模全体の拡大を確認。
・輸出が年率+12.2%の拡大、輸入は同+19.6%の拡大。共に3年振りの伸び率。

④欧州経済への安定、回復期待上昇
・Bundessbank(独中銀)の月次報告⇒ECBの時間軸政策(Forward Guidance)を支持。
・ECBは物価上昇ペースが現行予想を上回る場合は制約なき行動をとるべきとの意見。
・独経済は正常化から安定路線へ。春からの経済活動の強さに自信。
・ECB高官からも"追加利下げの"議論は出ていない”との発言。

⑤中国経済に関しても最悪期脱出の期待感上昇。
・HSBC製造業PMIが市場予想の48台を上回る50.1に回復。経済活動は再拡大へ?

⑥カナダ経済への懸念上昇
・7月CPIが年率換算で+1.3%と市場予想+1.4%に届かず。
・コア部分も+1.4%で市場予想の+1.5%を下回る。
・BOCのインフレターゲットを15ヶ月連続で下回る内容。

⑦米FRBのTOTO議論
・ダラスFEDのFisher総裁が早期Tapering支持発言。
・米経済は資産購入規模の縮小開始を正当化する強さ。
・米経済は順調に回復中であり、今後の判断はQE継続のコストとのバランスも視野に。
・Taperingは購入規模の縮小であり、より多くの債券を購入する事は不変。
・製造業には既に十分な低利子資本が注入されている。

⑧米FRBの時期議長人事
・Bernanke議長の後任人事でLarry Summers氏がYellen副議長を抑えて最有力との観測強まる。

⑨FOMC議事録(7月)
・多くのメンバーが年内のQE縮小を支持。
・ハト派とされるメンバーも現在の景気回復基調が続けばQE縮小を展望。

2 金融市場動向

①主要国株式市場に失速感
・牽引役だった米株市場にTop Out観測が強まる。
・長期金利の上昇などのファンダメンタルズ要因に加えてテクニカル要因もチャートが弱い。
・米ダウ平均も1ヶ月+振りに$15千割れ。

②長期金利上昇
・米10年債利回りが一時2.855%まで反騰。3%が視野に。
・週末は小幅に緩んで2.82%で越週するも長期金利は2年ぶり高値圏で推移。
・7月のFOMC議事録で早期Tapering議論が根強かった事が鮮明に。
・FRB時期議長にLarry Summers氏との観測が強まると長期金利上昇の図式。
・同氏がQE政策に批判的である為。

③為替市場はSWING相場継続
・米ドル、欧州通貨が堅調。
・コモディティ通貨、日本円は下落基調。
・新興国通貨は引き続き下落トレンド。

④貴金属価格続伸
・週初から調整モードで中盤まで小反落。
・週後半~終盤に反発し力強く上伸。

JPY :On the Verge of Another Leg Down?

95円~96円台もと思っていたドル円がしぶとく上昇し、テクニカル面では中立~やや円ベアと言う状況になってきました。
USDJPY DAILY ⇒ Turning Bullish?

先週の木曜日あたりからドル円は上昇期待の戦略にFLIPさせてきた海外ファンドも多いようです。

レンジ相場を終了して新たな円安相場が始まる気配はクロス円でも同様です。

AUDJPY DAILY ⇒ Seen the Bottom?




CHFJPY DAILY ⇒ Ready to Break Higher?












EURJPY DAILY ⇒ Bouncing Up.












GBPJPY DAILY ⇒ New Highs Taken.













EURJPY,CHFJPY,GBPJPYはかなり海外モデル勢が先週半ばからロングメイクを再開しているとの情報もあります。

ドル円も99円台に乗ってくると次は105円、110円と言う予測が出回り始めていますが、8月相場も終盤ですので、荒れる秋場所=9月相場に向けて円安方向へのセットアップ的な動きには注意しておきましょう。

EUR Looks Steady. Is Europe on the MEND?

ユーロが対ドル、対円などで堅調な動きを続けています。
EURUSD DAILY ⇒ SWINGING HIGHER.
ユーロドルは1.34を越えて新たな領域に入ったとの見方も強く、強気派は、次の目標を1.37に置いているようです。

EURJPY DAILY ⇒ Taking Higher Highs.








ユーロ円もSWING相場ですが、先週後半は米ドルも日本円も弱かったのでしっかりと目立った陽線を出してきました。こちらも相場心理はかなり強気転換してきています。

ドイツを中心に経済指標も改善傾向が継続しており、欧州はまたもや危機を乗り切った感が強まっていると言う状況です。

また、欧州回復に懐疑的な陣営の中にもユーロに関しては強気という相場観も増えてきました。日本が不況時に円高になったのと同じで、今の欧州には新興国などからの人、物、金の引き上げが続いており、為替の需給もユーロ上昇バイアスに傾き続けていると言うものです。

ユーロは特に対ドルで一旦調整入りすると見ていますが、下値が限られるようだと本当に1.35,1.37と上値を切上げるSWING相場が秋口まで継続する可能性も無視出来ませんね。

Precious Metals are Marching On.

貴金属ですが、先週も前半の小幅調整を消化して後半~終盤にしっかり上伸してきました。
GOLD DAILY ⇒ Marching On.
SILVER DAILY ⇒ Breaking Higher.













GOLDもSILVERもしっかりと新高値を取って来ていますので、非常に強気なチャートと言えるのですが、一方でファンダメンタルズ的にはTOTO議論の動向等もあり、外部要因は不透明な要素も多いです。

ここに来てFRB次期議長人事もハト派のYellen副議長からLarry Summers氏に本命が入れ替わりつつあり、QE政策の行方も予断を許さない状況になってきました。

足元の強さはソロスファンドやポールソンファンドの事実上の損切りが一つのトリガーとなって貴金属価格の抑圧要因が一旦は解消されたと言うポジション要因が大きいと見ていますが、中長期的に貴金属が底を打った可能性もあるので、引き続き注視していきたいと思います。

Top FX Movers of the Week.(Aug.19 - Aug.23. 2013)

8月19日(月)~23日(金)の週を通した主要通貨ペアの週次変動ランキングです。

終わって見ればコモディティ通貨が弱いと言う事になるのですが、週内の動きは先週も双方向に蠢いていましたね。

 通貨ペア ↑↓  週終値  週始値 変動(pips) 変動(%)
NZDCHF ↓ 0.7193   0.7507   -314    -4.37% 

EURNZD ↑ 1.7126   1.6439  +687   +4.01% 

NZDUSD ↓ 0.7804   0.8104   -300    -3.84% 

GBPNZD ↑ 1.9930   1.9272  +658   +3.30% 

NZDJPY  ↓ 77.08     79.09     -201    -2.61% 

AUDCHF↓ 0.8318   0.8505   -187    -2.25% 

NZDCAD↓ 0.8191   0.8375   -184    -2.25% 

EURAUD↑ 1.4821   1.4511   +310  +2.09% 

CADCHF↓ 0.8778   0.8957   -179    -2.04% 

AUDNZD↑ 1.1551   1.1325   +226  +1.96%

通貨ペアの分解結果は以下の通りです。
上昇通貨 ⇒ CHF(3回),EUR(2回),USD,GBP,JPY,CAD,AUD
下落通貨 ⇒ NZD(7回),AUD(2回),CAD

週初の強い経済指標を受けて上昇したNZDが週次では再弱通貨になっています。相変わらずEvent-Drivenでのトレードが中心になっていて、Event後には"Sell the Fact"で反転するようなSWING相場が続いているイメージですね。

The Final Round Rush:How They Finished the Week.(Aug.19th - Aug.23. 2013)

8月23日(金)の北米市場における最後の4時間での主要通貨攻防戦です。今週も前半よりも後半で大きな動きが出ていますが、週の最後の需給調整は以下のようになっています。

 通貨ペア ↑↓  終値     始値   変動(pips) 変動(%)
NZDCAD↓ 0.8191  0.8212   -21    -0.26% 

AUDCAD↓ 0.9473  0.9497   -24    -0.25% 

EURCAD↓ 1.4042  1.4075   -33    -0.24% 

CADCHF↑ 0.8778   0.8759  +19   +0.22% 

USDCAD↓ 1.0496  1.0514   -18    -0.17% 

GBPCAD↓ 1.6341  1.6369   -28    -0.17% 

CADJPY ↑ 94.03     93.88    +15   +0.16% 

NZDUSD↓ 0.7804  0.7812    -8      -0.10% 

AUDUSD↓ 0.9024  0.9033    -9      -0.10% 

AUDJPY ↓ 89.10     89.17     -7      -0.08%

通貨ペアの分解結果は以下のようになります。
上昇通貨 ⇒ CAD(7回),USD(2回),JPY
下落通貨 ⇒ AUD(3回),NZD(2回),EUR,CHF,GBP,JPY

カナダドルの小反発が目立っていますが、全体的に小動きと言った感じですね。

2013年8月18日日曜日

Review of the Week.(Aug.12 - Aug 16. 2013)

8月12日(月)~16日(金)の週をさっくりと振り返ります。

1 Key Events. 

①日本第二四半期GDP
・第二四半期GDPは+0.6%で市場予想の+0.9%も第一四半期の+1.0%も下回る内容。
・GDPデフレーターは▲0.3%と市場予想の▲0.7%、第一四半期の▲1.1%よりも良好。

②法人税引下げ観測+消費税導入時期再考観測
・安倍首相が消費税引き上げのマイナス効果を相殺するべく法人税引下げを検討との報道。
・同時に消費税の引き上げ時期や引き上げ幅の柔軟運用の議論も活発化。

③米7月Retail Salesデータ / 輸入物価データ
・7月の小売売上高は4ヶ月連続上昇となる+0.2%。
・市場予想の+0.3%を下回ったものの6月データが+0.4%⇒+0.6%に上方修正。
・米7月輸入物価は+0.2%とこちらは市場予想の+0.8%を下回る。

④FedのTOTO議論
・Bloombergのサーベイに回答したエコノミストの65%が9月の資産購入規模縮小開始を予想。
・St.Louis FedのBullard総裁が予測に基づく楽観論に警鐘。
・実際の継続的マクロデータの改善を確認する事の重要性を強調。
”FOMC members have tended to be too optimistic over the last several years, and caution is warranted in taking policy action based on forecasts alone." He emphasized the need to see "if better macroeconomic growth materializes in the months and quarters ahead, and whether inflation naturally returns toward target."

⑤英国6月雇用統計 / BOE議事録
・失業保険申請数が▲29.2千と市場予想(▲15千)以上の減少。
・6月失業率は7.8%と横ばい。
・BOE議事録で8月の政策金利据え置き(0.5%)は満場一致の議決。
・Forward Guidance導入は9人中8人が賛成。

⑥米雇用関係データ
・8月10日までの週の失業保険申請件数は320千件と市場予想の335千件を下回る良好な内容。
・この失業保険新整数は2007年の10月以来の低水準。

⑦米住宅関連データ
・6月新規住宅着工件数は5.9%増の896千件。市場予想の905千件には届かず。
・建築許可件数は2.7%増の943千件で、これも市場予想945千件に若干届かず。

⑧上海株式市場の誤発注騒動
・16日の上海株式市場が急騰後に急落。
・中国大手証券会社のプログラム取引の誤作動による大量買い付けが原因。
・その後に同証券会社の子会社がヘッジ目的で先物の大量売りを執行したことが判明。

⑨著名HFの貴金属持高大幅縮小が判明
・G.Soros氏が4月~6月の四半期で金を全て手放したとの報道。
・J. Paulson氏の旗艦ファンドも金ETFを50%手仕舞い済みとの報道。

2 金融市場動向

①債券市場、株式市場乱高下
・経済指標、高官発言、エコノミストサーベイのMIXEDな内容を受けてTOTO(TaperingのOn/Off)議論の動向も不透明に。

②為替市場も主要通貨一進一退
・レススタンスやサポートブレイクは全て上髭、下髭となるイメージ。
・値幅は出るが実体部分は直近レンジ内の動き。

③貴金属市場堅調
・著名HFの金投資額の大幅縮小の報道を尻目にGold,Silverとも一本調子の上昇。

Summer Doldrums Offers Summer Night Traps-1.

お盆、夏枯れ的な動きも指摘される足元の金融市場ですが、確かにどの市場も荒っぽい値動きが観測されています。

為替市場の中でもメジャー通貨、マイナー通貨とも何度もレンジ抜けを匂わせながら直ぐに戻ってくるようなトリッキーな動きも目立っています。

以下はEURUSDの日次チャートです。
EURUSD DAILY ⇒ A Wild Swing.
ユーロはいい感じで下向きに折り返したと思ったところで先週終盤に急騰しました。

週の前半と終盤で相場が変わってしまったと言うイメージのチャートですが、週前半で積み上げられたユーロ売りのポジションは相当な規模でSqueezeされたはずです。

週末時点では短期モデルはユーロを買い持ちに転換しているものも多そうです。ここから再度ユーロ安となれば市場は一層痛みます。所詮は夏枯れ気味な環境下での荒れたレンジ相場であると言う割り切りから手を出さない方が良いという市場参加者も増えているようですね。結局はNon-Human Playersの比率が高まっている中でのアルゴリズムの殺し合い的な展開となっているのかもしれません。

Summer Doldrums Offers Summer Night Traps-2.

真夏の夜の夢ならぬ真夏の世の悪夢の第二段は貴金属です。

半端じゃない反発なのですが・・・・・
GOLD DAILY ⇒ Breaking Higher.
この金価格の日次チャートも凄いですが、金以上に銀が猛威を振るう勢いです。

SILVER DAILY ⇒ Leaving Bears Behind.









ど、どうですかこれ?

この領域に関しては先週はこのような報道が注目を集めました。

1 ジョージ・ソロスが、4月~6月の四半期で金の保有量を縮小し、7月にはほぼ完全に撤退していた事。

2 金の代名詞的存在であったジョン・ポールソンの運用するファンドが金価格の低迷を受けて金ETFの保有量を半分以下にまで落としたと言う報道。

ロイター社の記事には以下のように出ていました。
[ニューヨーク 14日 ロイター] - 米大手ヘッジファンド運用会社ポールソン・アンド・カンパニーは第2・四半期に、金に裏付けされた上場投資信託(ETF)「SPDRゴールド・トラスト」の保有を半分以上減らした。米証券取引委員会(SEC)への14日の届け出で明らかになった。金価格の下落が理由。同ヘッジファンドは、金に強気の立場を取っている米著名投資家ジョン・ポールソン氏が運営している。
6月末時点の同ETFの持ち高は1020万口。3月末の2180万口から減少した。

金価格は同四半期に23%下落。世界経済の見通しが概して上向いたのを受けてヘッジ手段としての需要が減少し、金価格は4月12─15日、2日間の値幅としては過去最高となる225ドルの急落を記録した。
サブプライムで大儲けしたポールソン氏ですが、その後は運を使い果たしたかのような展開になっています。やはり程度問題ではありますが、勝ち逃げは難しいと言う事なのでしょうか。

Summer Doldrums Offers Summer Night Traps-3.

真夏の世の悪夢第三弾です。

前項でも書きましたが、Non-Humanな市場参加者の比率が高まるこの時期に、アルゴリズムが暴走するとこうなると言う話が先週終盤に上海で起きてしまいました。

16日(金)の上海株式市場で株価の急騰と直後の急落と言う典型的な御発注騒動がありました。これも上述のような人間ではない自動アルゴリズム取引の仕業であった事が判明しています。

日経新聞は以下のように報じています。
上海】16日の上海株式市場で大手証券の光大証券が大量の株式買い注文を誤って出した問題で、同社の先物子会社の光大期貨(上海市)が同日、株価指数先物約48億元(約780億円)を空売りしていたことが明らかになった。親会社の損失を相殺する狙いがあるとみられる。中国金融先物取引所が公表した資料によると、光大期貨は16日、上海・深セン両証券取引所の主要300銘柄で構成される株価指数「CSI300」に連動する株価指数先物を新規で7023枚空売りした。約48億元に相当する。


 親会社の光大証券は16日、約70億元(1120億円)の株式買い注文を誤って出し、上海総合指数が一時5%超上昇した。上海証券取引所は「取引所のシステムに問題はない」としており、光大証券が損失を計上する可能性がある。また17日付の中国紙は「光大証券が台湾の株式市場向けに開発した投資システムが誤発注を引き起こした」と報じた。

中国の大手証券会社が、誤御発注で大量の買い付けを行ってしまった後に、リスクヘッジの目的で子会社が大量の先物売りを行ったと言う事による乱高下だったようです。

上海市場は弱気センチが続いていたので、元々ショートポジションを仕掛けていた勢力は、この最初の誤発注による急騰で殺された事でしょう。次にこの誤発注による急騰を見て自動的にロングメイクした勢力(含むアルゴリズム)は、その後の急落時に殺されている事でしょう。

まさに真夏の悪夢上海バージョンでした。

Summer Doldrums Offers Summer Night Traps-4.

先週は円の動きも十分にトリッキーでした。
USDJPY DAILY ⇒ False Dawn?
週前半は、底打ち反転上昇モードが漂っていましたが、右下がりの抵抗線に上値を抑制されるように失速し、金曜日には小戻ししているものの、実に中途半端な水準での越週となりました。

何となくですが、5波で下げて、3波上げて・・・と言うイメージで大きな流れは右下がりの潮流が感じられるので、Elliot波動を見ている勢力は結構弱気で見ている感じです。実際にこれ一本での回転売買に徹している知人はこの地合いちょっと潤っていると言う話でした。

クロス円も同様ですね・・・
AUDJPY DAILY ⇒ 半値戻して再下落へ?
EURJPY DAILY  ⇒ Long Upper Shadows.













GBPJPY DAILY ⇒ 陽線続きも上髭長い?












GBP円だけは独自の上値ポテンシャルも感じないわけではないのですが、陽線を連発しつつも最近はやけに上髭も長いという状況ですね。

業界全般的にクロス円のアルゴリズムは止めているケースも多いようですが、それだけパフォーマンスが悪いのでしょう。トレンドフォロー型は結果的に殺されやすい展開ですね。

Top FX Movers of the Week(Aug.12 - Aug.16. 2013)

8月12日(月)~16日(金)の週を通した主要通貨の攻防です。

   通貨ペア ↑↓ 終値    始値   変動(pips) 変動(%)
NZDJPY 79.09    77.33     +176    +2.23% 

GBPJPY 152.46  149.20   +326    +2.14% 

USDJPY 97.59     96.24    +135    +1.38% 

NZDCAD0.8375  0.8266  +109    +1.30% 

EURJPY130.06   128.39   +167    +1.28% 

NZDCHF0.7507  0.7411   +96      +1.28% 

GBPCAD1.6151  1.5949   +202     +1.25% 

AUDJPY 89.60     88.51    +109     +1.22% 

GBPCHF1.4473   1.4299  +174     +1.20% 

AUDNZD1.1325  1.1438   -113      -1.00% 

上記通貨ペアの分解は以下のようになります。
上昇通貨 ⇒ NZD(4回),GBP(3回),USD,EUR,AUD
下落通貨 ⇒ JPY(5回),CAD(2回),CHF(2回),AUD

EUR,GBP,NZD,JPYの前週とは逆方向への切り返しが目立ちます。AUDは失速気味でNZDの反発とは好対照でした。

The Final Round Rush:How They Finished the Week(Aug.12-Aug.16. 2013)

8月16日(金)の北米市場における最後の4時間での主要通貨動向です。印象としてどの通貨(ペア)も上髭、下髭が長い週だったと思いますが、最後の需給調整の動きはこんな感じでした。

 通貨ペア ↑↓  終値    始値   変動(pips) 変動(%)
GBPNZD  1.9272   1.9315   -43   -0.22% 

NZDUSD  0.8104   0.8086  +18  +0.22% 

AUDNZD  1.1325  1.1347   -22    -0.19% 

NZDJPY ↑  79.09    78.95    +14   +0.18% 

EURNZD  1.6439  1.6467   -28    -0.17% 

NZDCHF  0.7507   0.7497  +10   +0.13% 

NZDCAD  0.8375  0.8366    +9    +0.11% 

USDCHF↓  0.9263  0.9272    -9     -0.10% 

USDCAD 1.0337   1.0346     -9     -0.09% 

GBPCHF  1.4473   1.4485   -12     -0.08% 

通貨ペアの分解結果は以下の通りです。
上昇通貨 ⇒ NZD(7回),CHF(2回),CAD
下落通貨 ⇒ USD(3回),GBP(2回),AUD,JPY,EUR,CHF,CAD

NZDの上昇バイアスが目立っていますが、週次ベースでも強かったNZDが最後の時間帯にも調整無く買われていた事が判ります。

2013年8月11日日曜日

Review of the Week(Aug.5 - Aug.9 2013)

8月5日(月)~9日(金)の週をざっくり整理します。

1 Key Events

①FedのTapering議論
・複数の理事が発言。太宗が9月のTapering(資産購入規模縮小)を示唆。
・ハト派のエバンス理事(シカゴ連銀総裁)ですら9月のTapering開始を否定せず。

②ECB Survey.
・2013年の欧州圏成長見通し下方修正(-0.4%⇒-0.6%)。
・新興国との貿易も減速を予想。
・2014年の成長見通し下方修正(+1.0%⇒+0.9%),2015年も同様(+1.6%⇒+1.5%)。

③BOEが金融政策フレームワークの改定(Inflation Report)
・金融政策と失業率をリンク。
・現在7.8%の失業率が7%まで低下するまでは現行政策を維持。
・7%は引き金ではなく閾値。実際は6.5%レベルでの安定が必要。
・今後の予想は2016年Q3時点で7.1%までの低下を予想。
・2017年まで引締めなしとも読めるが、期待インフレが短期2%、中期2.5%を越える場合は失業率に縛られない事も明記。

④日銀政策決定会合
・政策据え置き
・声明文で緩やかな景気回復が始まっている事、広範なインフレ期待の上昇に言及。
・1委員のインフレ目標2%を中長期目標に変更する提案は8-1で否決。

⑤RBA利下げ断行
・25bpの利下げを実施。政策金利は2.5%に。
・声明文は”less dovish”。
・”インフレ見通しは追加利下げを可能とする水準”という文言を削除。
・豪ドルは4月から15%程度減価した事、更なる減価余地にも言及。

⑥中国7月貿易統計
・貿易黒字縮小($17.8bioと減っても巨額黒字)。
・7月の輸出は+5.1%で6月の▲3.1%から改善。
・7月の輸入も+10.9%で5月の▲0.3%、6月の▲0.7%から大きく改善。

⑦カナダ雇用統計の減速
・7月の新規雇用は▲39.4千人で市場予想の+6千人を大幅に下回る内容。
・3月(▲54.5千人)以降で最悪の数字。
・失業率も上昇(7.1%⇒7.2%)

⑧ニュージーランド乳製品に雑菌疑惑
・同国乳製品大手のFonterra社の乳製品の一部に新手のBotulism bacteriaが見つかったとの報道。
・中国がニュージーランドからの乳製品の前面輸入禁止を発表。

2 金融市場の動向

①債権市場に買戻し。株式市場は調整。米ドルは続落。
上記の通り、FRB内に9月のTapering開始をメインシナリオとする空気が強まっている模様であるが、足元の経済指標が斑模様な事もあり、開始の延期か資産購入の縮小規模の縮小を予想する市場参加者が増加しているイメージ。

②コモディティ通貨に明暗
・豪ドル反発 ⇒ 豪ドルは利下げ後に反発。25bpの利下げは織り込み済みであった事から壕ドルショートの手仕舞いが殺到。声明文が市場予想ほどハト派的ではなかった事も豪ドル反発の追い風に。
・カナダドル反落 ⇒ こちらは上記の通り雇用関係のデータが弱く、大きく反落。
・ニュージーランドドル劇的上昇 ⇒ 上述の報道で週初から大きくGap-Downして始まるも週を通して大きな陽線に!

"TOTO Factor" Swing Draws USD Lower.



米国のQE3政策の縮小議論により為替市場では米ドルが振り回されています。

・多くの関係者が9月のTapering開始(QE3縮小の開始)を否定せず。
・ハト派の理事からも9月説を示唆する発言が出ている。

一方で、

・足元の経済指標は必ずしも9月の量的緩和縮小開始をサポートする堅調なものばかりではない。
・9月開始だとしても毎月$85bioの資産購入額を$65bioに縮小すると言う$20bioの縮小ペースは見直されるのではないかと言う思惑も根強い

という状況で、先行き不透明感が強まっている状況です。実際問題として今は既に8月ですし、9月にQE3規模の縮小となれば本当に目の前まで来ています。

この何となく落ち着かない先行き不透明感の中で、株式市場は調整色を強め、為替市場ではドル安が進行してきました。これもこの先どうなる事やら・・・・

チャートは米ドルの総合的な趨勢を表すドルインデックスのチャートです。価格もモメンタムも揃って下向きになっています。

個人的な相場観としては、そろそろ米ドルは一旦底を打って9月に向けて地歩を回復しつつ、ブルベアが中立する位のところまで戻して9月のFOMCを迎えると言う展開を予想していますが、テクニカルにこのドルインデックスが80をしっかり割り込んでしまうと、米ドル売りがトレンド化して加速していく展開もあり得るので注意したいところです。

ところで、標題のTOTO FACTORですが、Tapeingをするのかしないのか、するならするで規模感はどうなのかと言う一連の議論の事で、TAPERING-ON・TAPERING-OFFの頭文字を取って、TOTOとしているのですが、市場関係者の一部で使用され始めているようですので使ってみました。

JPY is also at a Critical Juncture.

参院選の後はこれだった・・・・

と言う感じで遂に消費税の議論がセンターステージに上ってきました。

アベノミクスには期待や支持を表明する諸外国も日本の国家財政には懸念を隠しておらず、消費税の引き上げは今や国際公約と化しています。最早調整できるのは、規模と速度と対象の微調整位であり、これが国際的に失望を招く結果となれば大変な事になるでしょう。

安倍政権は、景気面への配慮も強調しており、アベノミクスの柱でもある公共事業などを含む柔軟な財政出動との組合せで議論を進めており、これはこれで正当な事だと言えるでしょう。

ところで、金融市場は本邦の状況に警戒心を隠していない状況です。それでなくても夏枯れの季節であり、市場の流動性が低下すると言う事もあって、市場では株価の低下と円高の進行と言う形で懸念が表明されている状況ですね。
USDJPY DAILY ⇒ JPY on the RISE.

ドル円は一旦95円台でボトムを打つシナリオもありますが、一連のクロス円のチャートも気になる形状です。

ちょっとトレンドは円高への転換ですねと言う形状となりつつあります。

CADJPY DAILY ⇒ JPY Quite Steady.



CHFJPY DAILY ⇒ So Bearish.












EURJPY DAILY ⇒ Looking Down












GBPJPY DAILY ⇒ Still Bearish.













AUDJPY DAILY ⇒ Trying to Pick Up?












NZDJPY ⇒ Trying to Fill the Gap.













こうなると毎度の如く、金利差などよりも圧倒的に株式市場との相関が強化されますので、株式市場の低迷が続く場合は、更なる円高リスクも視野に入れていく必要があります。

NZD was NOT Hurt by Botulism Bacteria.

WeeklyのReviewにも既述しましたが、先週は週明けから南半球に激震が走りました。

ニュージーランドの乳製品大手のFonterra社の製品から新手のボツリヌス菌が見つかったようで、最大のお得意先である中国が当面同社のみならず同国からの乳製品の輸入をサスペンドするという報道があったためです。ベトナム、ロシアも追随する格好となりました。

ガンガン強気相場をひた走ってきたNZDが週初から撃沈してしまいました。大きく窓を開けての下値での取引開始となっています。
NZDUSD DAILY ⇒ What a SWING!!!

ところで、このチャート凄いですね・・・

週初に劇売られして始まったNZDを拾った人達は大儲けですか・・・(持ちっ放しの人は殆どいないでしょうけど)

製品が限定された事、菌も弱かった事、被害者も出ていない事などもあるのと、週後半には米ドルが売り込まれたと言う要因もあるでしょう。

NZDを買い遅れた人がデマでも流したかと思いたくなるような展開でした。

Oh Canada.........

別項の週次のReviewでも触れたカナダドルの反落軌道です。
USDCAD DAILY ⇒ CAD;Off the Cliff.

やはりこの時期、市場の流動性が落ちていると言う問題も間違いなくあるでしょう。この時期は市場に累積するポジションの逆を突く材料が出ると一方向のフローが殺到して値幅が拡大する傾向が強まりますね。本当に危険です。

北米堅調、中国不振と言うシナリオから積み上がっていたAUDCADのショートも暴力的にSqueezeされました。
AUDCAD DAILY ⇒ AUD; Up the Cliff.

対円のCADロングも相応にあったと思います。
CADJPY DAILY ⇒ Wild Swings.

ここは横のサポートラインをBreakしたところから一気に下向きに流れが出てきたイメージのチャートですね。

CADは、北米通貨の一面もコモディティ通貨の一面も併せ持つ二面性通貨ですので、この対円の日次チャートの如く、今後も暫くは長めの陽線、陰線が乱立するSWING相場に入る気配が濃厚でしょう。

市場の流動性の低下も不可避な季節ですので、気をつけたいところです。

Short AUD Position Got Squeezed.

RBAの利下げは予想通りでしたが、"Sell the Fact"的な手仕舞い圧力に豪ドルは大きく反発しています。
AUDUSD DAILY ⇒ Great Recovery!!

この対ドルでの豪ドル反発も凄まじいチャートになっていますよね。

AUDJPY DAILY ⇒ Trying an interim  resistance?








ドル円が下落している事もあって豪ドルは対円では反発も限定的なチャートですが、現行水準から更に反発出来れば上値を伸ばせそうなチャートになっています。

先週は欧州通貨ロングの豪ドルショートなども結構なSqueezeにあっているのと、豪ドルとは明暗を分けた格好のカナダドルとのクロスが圧巻でした。
EURAUD DAILY ⇒ EUR Longs vs AUD got Hammered.

AUDCAD DAILY ⇒ AUD Jumped vs CAD.

中国の経済指標にも落ち着きが見えてきました感もあり、豪ドルに悲観的な材料は後退する傾向にあります。日本もお盆ですが市場の流動性懸念も上昇する中で、豪ドルショートがたまりすぎていたと言う事なのではないでしょうか。

豪ドルの快進撃が続くかどうかと言う点については、懐疑的にならざるを得ませんが、ここからも猛暑の中で豪ドルやカナダドルは大きな値幅で乱高下する展開となるような気がしますね。

Top FX Movers of the Week(Aug.5 - Aug.9 2013)

8月5日(月)~9日(金)の週を通した(週次ベースの)主要通貨ペアの動向です。

    通貨ペア ↑↓  終値    始値   変動(pips)  変動(%)
AUDUSD 0.9197  0.8901    +296   +3.22% 

EURAUD 1.4503 1.4914     -411    -2.83% 

USDJPY   96.24    98.95      -271    -2.82%  

NZDUSD 0.8035  0.7834    +201   +2.50% 

AUDCHF 0.8481  0.8273   +208    +2.45% 

EURJPY  128.39  131.40     -301    -2.34% 

AUDCAD0.9460  0.9251    +209   +2.21% 

EURNZD1.6596  1.6941     -345    -2.08% 

CHFJPY  104.32  106.44     -212    -2.03% 

GBPAUD1.6856  1.7171     -315    -1.87%

通貨ペアの分解結果は以下の通りです。
上昇通貨 ⇒ AUD(5回),JPY(3回),NZD(2回)

下落通貨 ⇒ USD(3回),EUR(3回),CHF(2回),CAD,GBP 

北米も欧州も弱い事。南半球と円の反発が大きい事が特徴と言えそうです。

The Final Round Rush:How They Finished the Week(Aug.5-Aug.9 2013)

8月9日(金)の北米市場の最後の4時間における主要通貨ペアの動きです。先週もチョッピーな動きがありました。週の最後の需給調整はどうだったのでしょうか。

   通貨ペア ↑↓ 終値    始値    変動(pips) 変動(%)
GBPJPY 149.20  149.55   -35     -0.23% 

NZDJPY 77.33    77.51     -18     -0.23% 

AUDJPY 88.51    88.67     -16     -0.18% 

CADJPY 93.54    93.70     -16     -0.17% 

EURJPY 128.39  128.60   -21     -0.16% 

CHFJPY 104.32  104.47   -15     -0.14% 

USDJPY 96.24     96.37    -13     -0.14% 

GBPCHF1.4299  1.4313   -14     -0.10% 

NZDCHF0.7411  0.7418    -7      -0.09% 

NZDUSD0.8035  0.8042    -7      -0.09% 

通貨ペアの分解結果です。
上昇通貨 ⇒ JPY(7回),CHF(2回),USD
下落通貨 ⇒ NZD(3回),GBP(2回),AUD,CAD,EUR,CHF,USD

円の上昇バイアスが目立っています。クロス円のロングポジションの調整が最後まで続いていたと言う事であり、ここの下値バイアスは今週も燻る可能性が高いという事かも知れません。

2013年8月4日日曜日

Review of the Week(July 29 - Aug.2 2013)

7月29日(月)~8月2日(金)までの週は、月替わりによる月末月初の需給要因に加えて各種イベント、経済指標に振り回される展開となりました。

1 Key Events

①RBA総裁のハト派発言 ⇒ 豪ドルが続落しても驚かない。追加利下げ否定しない。

②米第二四半期GDP速報値 ⇒ 年率換算+1.7%(市場予想+1.0%)

③FOMC会合
 ・低成長、低インフレ、モーゲジ金利上昇等の悪影響に懸念。
 ・Tapering(QE縮小)とTightening(引締め)の区別を強調。
 ・Taperingの判断に予断は無く純粋に今後の経済動向次第である旨を強調。

④BOE会合 ⇒ 据え置き

⑤ECB会合 ⇒ 据え置き

⑥その他指標 ⇒ 米7月ISM製造業 ⇒ 55.4(予想54)、前週失業保険申請件数⇒326千件(▲19千人で2008年1月以来の低水準)

⑦米7月雇用統計
 ・NFP(非農業部門新規雇用者数)⇒ +162千人(市場予想185千人)で3月以降で最低。
 ・前月データの下方修正 ⇒ +195千人から+185千人に訂正。 
 ・失業率 ⇒ 7.4%に改善(2008年12月以来の低失業率) 

2 金融市場の動向

①豪ドル大きく反落へ

②FOMCのTapering動向 ⇒ 市場参加者の多くがTaperingの開始時期を9月シナリオから12月シナリオにシフトする動きが活発化。

③米株市場最高値更新 ⇒ DOW工業平均⇒$15,653.36、S&P500⇒$1,709.67。

④長期金利上昇 ⇒ 米10年債利回りが2.737%と2013年の高値を更新。雇用統計後は2.602%まで反落して越週。

⑤貴金属価格反発 ⇒ 先週は下落後に大きく反発。金は1オンス$1,282.4まで下げてから$1,312.9まで反発。

⑥米ドル反発も雇用統計後に失速 ⇒ ドルインデックスは82.492まで反発も雇用統計後は81.931まで反落。週足は陽線だが印象は弱い。

Very Interesting Anomaly about NFP.

私の家族もスタジオジブリの大ファンでして、金曜日の晩にも録画しながら”天空の城ラピュタ”を見ていましたが、皆さんは、”ジブリの法則”とか”ジブリの呪い”等とも呼ばれているちょっとしたアノマリーをご存知でしょうか?

WSJ紙日本版に面白い記事が出ています。

http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323451804578642561445230042.html?mod=djem_Japandaily_t

私は全く聞いた事はありませんでしたが、大変興味深い話だと思いました。

要するに放映後に相場が荒れると言う事なんですね。

記事の抜粋ですが、以下はとても興味深いですね。

”ジブリの法則を信じている人々は、異様ともいえる的中度を指摘する。日テレは2010年1月以来、ジブリ作品を24回放映してきた。そして、3分の2近くで、放映後の最初の取引日には東京市場で円高が起こり、また約半数の場合で株価が下落した。

”ジブリ作品の放映と重なった9回の雇用統計の発表のうち8回が市場予測を下回った。そして7回で、ドルは円に対して下落したのだ。”

ところで8月2日(金)の天空の城ラピュタは、10回目の雇用統計と言う事なのでしょうが、市場予測を下回り、ドル円も下落したと言う事は実現していますね。つまり上記のアノマリーは、過去10回の雇用統計のうち9回が市場予測を下回り、うち8回でドル円が下落したと言う具合に昇格(?)したのではなでしょうか。

世の中には面白い事に気が付く人がいるものだと思いますが、こういうのは本当に馬鹿に出来ないんですね(笑)。例えばあのジョージソロスが自身の取ったポジションが損失を計上しても簡単には損切りをしない一方で、背中の筋肉が痙攣するとあっさり損切ると言う話も有名ですが、彼はそれを神の啓示のようなものと信じているんですね。

意外と市場や世の中を動かしている要素には、極めて非科学的な事も含まれていると言う事なんですね。

USDJPY: Been a Tough Ride.

ドル円もかなりのSWING相場です。ロングをHOLDしている中長期戦略もまだまだ多いと思いますが、PLの変動もかなりのものでしょう。
USDJPY DAILY ⇒ Tough Ride.
株式市場などとの相関も相変わらず高いのですが、時折大きな陽線を出して円安路線の修復を期待させてはあえなく反落と言う展開も目立ちます。

チャート的には少しずつですがレンジを切り下げて来ているようにも解釈できるでしょう。このまま100円が重たいと言う印象が強まるようだと下値トライへと相場のテーマが転換していく事も考えられます。

赤字定着の貿易需給は一朝一夕には改善しないのですが、相場力学的には短期的に円高バイアスを強める可能性も視野に入れておきたいところですね。

Is RBA At It Again?

先週初には底打ちプロセスに入った感もあった豪ドルですが、以下の報道で見事に崩れました。

SYDNEY, July 30 (Reuters) - The Australian dollar slid on Tuesday after the head of the country's central bank said he would not be surprised if the currency declined further, while leaving the door open for another cut in interest rates to support the domestic economy. 

中銀総裁が豪ドルが続落しても驚かないし、今後の追加利下げの可能性も否定しないと言われればこうなりますね。
AUDUSD DAILY ⇒ AUD Failed to Rebound.
これで豪ドルは対ドルで大きく反落し、チャートも底抜けのような形状になっていますね。

逆に対ドルで足元最もパフォーマンスの良いのがユーロなのですが、これらのクロス取引で一儲けしようと言う戦略が活発化し始めています。

EURAUDDAILY ⇒ Feeling Bullish?


うーん、なるほどと言うチャートですね。

ドル、円を避けてこのようなクロス取引のトレンドを低レバリッジで我慢強く引っ張ると言うのがお盆の時期の無難な戦略だと言うのは頷ける話ですね。